2021 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・象牙質再生誘導因子を用いた新規再生歯内療法薬の開発
Project/Area Number |
19K19280
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
林 勇輝 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10756547)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 再生歯科医療 / 細胞遊走因子 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児歯科領域において乳歯・幼若永久歯の外傷によって歯髄処置が必要となる症例には頻繁に遭遇する。断髄の目的は、健康な歯根部歯髄を残し、乳歯においては生理的な根吸収による後継永久歯への正常な交換、幼若永久歯においては生理的な根の完成を促すことにある。そのため、遊走促進能・抗炎症作用・象牙質分化促進能を備え、より有効性の高い貼薬剤の開発は急務と言える。間葉系幹細胞は様々なTrophic factorの分泌源として知られ、血管新生、抗アポトーシスあるいは免疫調整によって障害後の組織再生を促進すると報告されており、再生治療薬としての可能性が研究されている。異所性歯根移植モデルを利用し、in vivoにおける、それぞれの濃度と混合比率をスクリーニングすることを目的に本研究を行う。 CXCL14はCXCL12とともにCXCR4を通した幹細胞の遊走能に関与すると報告されており、MCP1は動脈性の血管新生および成熟に関与すると報告されている。しかし、CXCL14およびMCP1は単独での移植では歯髄再生能は示さなかった。両者を混合することによって再生歯髄組織は認められるようになったが、間質の石灰化および線維化が観察され、血管も疎であった。さらにCCR3アンタゴニストを加えることで、歯髄再生量は促進し、間質の石灰化および線維化も抑えられ、血管新生も増加した。CCR3アンタゴニストは遊走細胞のうちマクロファージ細胞の分化を制御し、相対的M2マクロファージ細胞を増やすことが報告されている。従って、CCR3アンタゴニストの追加により幹細胞ニッチが改善し、再生環境が整ったことによると考えられる。今後はより詳細な歯髄再生促進メカニズムの検討が必要であると考えられる。また、より実際に近い生活歯髄切断モデルをラット、イヌなどで作成し、有効性を検討する必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)