2023 Fiscal Year Annual Research Report
肥満によるアディポサイトカイン系代謝異常が成長期の矯正学的歯の移動に与える影響
Project/Area Number |
19K19286
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
加藤 千帆 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (80706987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肥満 / 電気生理学 / 顎運動 / 大脳皮質咀嚼野 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は大脳皮質咀嚼野より引き起こされる下顎運動経路と咀嚼筋の神経筋活動に影響を与えるという仮説を立て、電気生理学的手法を用いてその仮説を検討した。 実験群として肥満のObese Zucker rat (OZR)、対照群として非肥満のLean Zucker rat (LZR)(各n=7)を使用した。10週齢において皮質内微小刺激(ICMS)による記録を行った。塩酸ケタミン麻酔下にてタングステン微小電極を皮質咀嚼野(A領域、P領域)に刺入して行った。分析項目として、体重、下顎運動経路の解析として垂直・側方方向への開口量、垂直方向の開口速度、開口持続時間、閉口持続時間、サイクルの持続時間、顎二腹筋の筋活動解析として、潜時、振幅、筋活動の持続時間、パワースペクトル解析について分析を行った。 大脳皮質咀嚼野に対する電気刺激により生じた下顎運動経路では、A-areaおよびP-areaへの刺激では異なる下顎運動を引き起こした。大脳皮質咀嚼野に対する電気刺激により生じた下顎運動では、OZRsとLZRsは類似した垂直および水平方向の運動を行い、P-area刺激誘発性の下顎運動では、OZRsはLZRsと比較し、垂直的開口時間と垂直的開口速度は有意に大きくなった。筋活動の記録では、LZRsと比較し、OZRsではA-areaおよびP-area刺激時に顎二腹筋活動までの潜時が有意に短く、P-area刺激時の顎二腹筋活動持続時間は有意に短くなった。筋活動の記録では、A-areaおよびP-area刺激時に筋活動電位の振幅および周波数パラメーターは有意差が認められなかった。 上記の結果より、肥満が大脳皮質咀嚼野刺激誘発性の神経筋反応を変化させ、咀嚼運動に影響を与えることが示唆された。
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