2019 Fiscal Year Research-status Report
小児咽頭炎における宿主免疫干渉・重症化メカニズムの解明
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19K19289
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
黒澤 美絵 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70792282)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児 / 咽頭炎 / A群レンサ球菌 / 転写因子 / 炎症増悪 |
Outline of Annual Research Achievements |
学童期の小児が罹患する咽頭炎の主な原因菌であるA群レンサ球菌による咽頭炎の国内での患者報告数は激増している。また、近年、薬剤耐性菌も増加傾向にあるため、抗菌薬の適正使用が求められており、細菌感染症の発症機構の解明と病因論に基づいた有効な予防法や制御法の確立が望まれている。しかしながら、A群レンサ球菌による咽頭炎予防のためのワクチンは実用化されておらず、現在は感染後に抗菌薬による治療を行うことが多い。 宿主マクロファージに存在する転写因子Nrf2は、ロイシンジッパー構造と呼ばれる特徴的な機能ドメインを有しており、同構造とMaf因子とがロイシンジッパーを介してヘテロ2量体を形成することでDNAに結合し、炎症防御に関与する遺伝子群の転写を調節することが示されている。A群レンサ球菌の産生するタンパク質Lzpもまた、ロイシンジッパー構造を有している。そこで本申請研究では、A群レンサ球菌の保有する転写因子Lzpが宿主マクロファージのNrf2と拮抗的に結合することにより、炎症防御系遺伝子群の転写に影響を及ぼしていると仮説を立て、検索した。 組換えLzpタンパクを作用させたマウスマクロファージのNrf2標的遺伝子の発現、活性酸素の産生量について解析を行った。本申請研究でA群レンサ球菌性咽頭炎が重症化する分子機構が解明され、ワクチンの開発に関する一案が報告できれば、小児における咽頭炎発症ならびに重症化の予防研究へ発展することができ、かつ抗菌薬の使用を減じられる可能性があるため、社会的な貢献を果たすことができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
A群レンサ球菌由来Lzpタンパクとマウスマクロファージの転写因子Nrf2との結合に関する解析が予定通りに進まなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
宿主の転写因子NF-κBは炎症性サイトカインや酸化ストレスにより活性化され、局所の炎症を増悪させるとの報告がある。そこで、Lzpタンパクを作用させたマウスマクロファージにおける転写因子NF-κBの活性解析を行う。また、ワクチン開発を視野に入れ、Lzp免疫化マウスを作製予定である。
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