2019 Fiscal Year Research-status Report
大量化学療法による口腔粘膜障害発症メカニズムの解明
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19K19294
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 優子 (森川優子) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70803188)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児がん / 抗がん剤 / 口腔細菌叢 / 歯周病菌 / ミュータンスレンサ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児がん患者において抗がん剤等の大量化学療法を受けた小児において、口腔内環境が変化し重度の齲蝕や歯肉炎が起こることがすでに知られている。また、同時に大量化学療法を受けている小児においては、免疫機能の低下から著しく歯肉の状態が悪化していることが考えられる。このような患者では、齲蝕および歯肉炎発症に関わる菌およびその菌の生育環境も大きく変わっている可能性が高く、その細菌叢は健常の小児のものとは大きく異なると思われる。本研究では岡山大学病院小児科を受診中で保護者の同意が得られた患児より唾液および歯垢の採取し、それらから細菌DNAを抽出した。得られたDNAを鋳型として、各口腔内細菌の特異的プライマーを用いてPCR法を行い菌の同定を行った。サンプルとして、化学療法開始1か月前および開始後約1、3および6か月後に唾液を採取した。結果として、口腔レンサ球菌の検出率は移植1か月前と比較して移植1か月後で低下した。また移植3か月後のサンプルでは、1か月後と比較してすべての口腔レンサ球菌において検出率が増加した。同様に移植3か月後のサンプルでは、1か月後と比較して歯周病原菌の10種類中6種類において検出率が増加した。口腔レンサ球菌と歯周病原細菌のいずれも移植1か月前と比較して3種類以上の細菌を有する患児の割合が増加した。口腔内細菌の分布においては口腔レンサ球菌、歯周病原細菌の両方を有する患児は移植1か月前では約55%であったが移植1か月後に約18%に低下し、3か月後に約82% に増加した。移植1か月後と移植3か月後における検出菌数を比較した場合、移植3か月後に菌数が増加した患児の割合は、口腔レンサ球菌では90%、ミュータンスレンサ球菌では73%であった。 以上の結果から、化学療法によって口腔細菌叢は大きな変化が起こっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
岡山大学病院小児科との連携もとれており、小児歯科を受診する小児がん患者が増加し、各ステージごとのサンプル数も順調に確保することができている。採取したサンプルも随時、PCR法による菌の同定を行っており、概ね予定通りに遂行できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、小児がん患者の唾液およびプラークサンプルを化学療法後約1か月、3か月および6か月時に随時採取し、PCR法による菌の同定を行っていく。サンプルの数が十分に確保でき次第、各ステージで分離したミュータンスレンサ球菌の病原性の検討を行い、ABCトランスポーターの分布と発現状況の検討も同時に進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今回の研究で対象としている大量化学療法を行う患児においては保護者の同意を得ることができても、大量化学療法による患児の身体的、精神的な負担によりサンプルが採取できない場合があった。また、サンプルの採取が移植後6か月後までの期間であり、長期に渡るため、各ステージにおけるサンプル数が確保できた後の実験が現段階で行うことができていないため次年度使用額が生じている。現在、サンプル数については順調に増えており、得られたサンプルにおいては細菌の分離、培養を行い、各細菌種の同定を行っている。今後、同様にサンプルの採取および分析を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)