2019 Fiscal Year Research-status Report
歯槽骨の大規模三次元イメージングによる歯牙移動時の歯槽骨改造の解明
Project/Area Number |
19K19295
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中條 真奈 (橋本真奈) 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (80824581)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 直交配置型FIB-SEM / 骨細胞 / コラーゲン線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正力に対する歯槽骨改造の解明には、歯槽骨内における骨基質と骨系細胞群との相互作用を解明することが重要である。本研究ではナノサイズのコラーゲン線維とマイクロサイズの骨系細胞群を高解像度かつ広範囲に観察することが可能な直交配置型FIB(Focused Ion Beam)-SEM(Scanning Electron Microscopy)という新しい顕微鏡を用いて歯槽骨の大規模三次元イメージングを行うことで、歯科矯正力に対する歯槽骨改造を解明することを目的としている。 具体的には、矯正力を付与したマウス歯槽骨やβ-Aminopropionitrile(BAPN)を用いてコラーゲン線維形成を阻害させたマウス歯槽骨を直交配置型FIB-SEMや共焦点レーザー顕微鏡で観察し、XTracing拡張機能やAmiraソフトウェアで骨基質や骨系細胞群を解析することを目指している。 ニワトリ胚頭蓋骨の直交配置型FIB-SEMを用いた観察、XTracing拡張機能を用いたコラーゲン線維の解析はすでに成功していることから、さらに観察条件の検討を行い、BAPNでコラーゲン線維形成を阻害させたニワトリ胚頭蓋骨が直交配置型FIB-SEMで観察可能となった。マウス大腿骨も直交配置型FIB-SEMで安定して観察可能となった。また、BAPN投与による骨細胞への分化に影響がないことを確認した上で、Amiraソフトウェアを用いたニワトリ胚頭蓋骨の骨細胞群の解析の結果、1.対照群の骨細胞突起が細胞長軸に対して直角に伸びているのに対し、実験群は放射状に伸びていた。2.対照群の骨細胞形態が紡錘形に近いのに対し、実験群は円形に近かった。3.骨細胞長軸のばらつきは対照群に対し実験群が大きかった。以上の研究成果は骨形態計測学会、日本矯正歯科学会で発表を行った。また今後国際誌に論文投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス歯槽骨を直交配置型FIB-SEMで観察し、XTracing拡張機能を用いて解析するための染色条件の検討に時間がかかっていることから、進捗はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策として、マウス歯槽骨の直交配置型FIB-SEMを用いた観察が重要であるため、染色条件や観察条件の検討を進めていきたい。またXTracing拡張機能の解析は非常に時間がかかることから、当科の他の研究で用いられているAI技術等も駆使しながら研究を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2019年度にコラーゲン線維形成を阻害させたニワトリ胚頭蓋骨を直交配置型FIB-SEMで観察し、その後XTracing拡張機能ソフトで解析予定であったが、直交配置型FIB-SEMの観察条件の検討に時間がかかり、解析まで行うことができなかったため、処理能力の高いPCを購入しなかっったことで未使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)