2019 Fiscal Year Research-status Report
成長ホルモン補充療法と機能的矯正装置を併用した新規矯正歯科治療法の確立
Project/Area Number |
19K19297
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
粟田 哲也 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (90758179)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 成長ホルモン / エストロゲン / ターナー症候群 / 機能的矯正装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ターナー症候群などの成長ホルモンや女性ホルモンの分泌不全患者における成長ホルモンおよびエストロゲン補充療法を行う時期の矯正歯科治療方法の有効性を明らかにすることを目的とした検討を行っている。ラットの成長ホルモン分泌不全モデルを作製して、成長ホルモン補充療法と機能的矯正装置の影響を検討する予定であったが、ラットの下垂体摘出術の手技的難易度が高く、成長ホルモンKOラット等の代替方法の検索を行っているが、期間内に終了することが困難であるため、実験計画の見直しを行った。エストロゲン分泌不全モデルラットを作製し、ラット女性ホルモン分泌不全に対するエストロゲン補充療法および機能的矯正装置の影響についての検討を行うこととした。2019年度は、In vivoにおいて、ラットのエストロゲン分泌不全モデルを確立するため、5週齢Wistar系雌性ラットに卵巣摘出術(OVX)を行った。また、小型動物用機能的矯正装置の作製、検討を行い、上下顎骨に咬合斜面板を装着し、下顎骨の機能的前方誘導方法を確立した。現在、機能的矯正装置装着によるラットの下顎頭および下顎骨成長に及ぼす影響を検討している。In vitroにおける検討では、マウス由来軟骨前駆細胞(ATDC5)、ヒト顎関節滑膜細胞を培養し、経時的な軟骨分化マーカーの遺伝子発現の検討を行った。現在エストロゲンの添加による影響を実施中であり、今後持続的機械刺激を加えて軟骨分化に及ぼす影響を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は動物実験でラットの成長ホルモン分泌不全モデルを確立するため、下垂体摘出術の検討を行ったが、手術の難易度が高く、成長ホルモンKOラット等の代替方法を検討しているが、納入まで長期間を要するため期間内での実験が困難であると考えている。そのため、エストロゲン分泌不全モデルを作製し、エストロゲン分泌不全ラットに対するエストロゲン補充療法、機能的矯正装置の影響を検討していくことに主眼をおいて進めている。現在、ラットに卵巣摘出術を行い、エストロゲン分泌不全モデルの確立と、小型動物用機能的矯正装置を作製・検討し、ラットに装着した。今後ラットにエストロゲンを皮下投与して、下顎頭成長について形態学的・組織学的検討を行っていく予定である。In Vitroにおいて、マウス由来軟骨前駆細胞、ヒト顎関節滑膜細胞の培養を行い、エストロゲンを添加し、軟骨分化についての検討を行っている。今後、持続的機械刺激を加えて、持続的機械刺激とエストロゲンが各種細胞に及ぼす影響について検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、COVID-19の影響による実験室の使用制限や動物飼育数の制限、実験材料等の入手が遅延しているため、達成可能な方法から順に進めて行くよう実験計画の見直しを行っている。まずは、進行中のエストロゲン分泌不全モデルラットのIn vivo実験を可及的に速やかに完了し、また進捗が遅延しているIn vitro実験を並行して進行していく予定である。動物実験結果により修正が必要となる場合には、動物実験の個体数を増加し、条件修正のためのIn vitro実験と並行して行う。
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Causes of Carryover |
成長ホルモン分泌不全ラットを作製する際の手術器具の物品費として使用する予定であったが、下垂体摘出手術の手技の難易度、機能的矯正装置の装着期間が一か月程度として、死亡のリスクと高いと判断し、実験計画の達成が困難であると判断したため、購入をとりやめたため、残額が生じた。実験計画を見直し、エストロゲン分泌不全ラットにエストロゲンを投与する際に使用する器具などの物品費に計上し、速やかに使用する予定である。
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