2019 Fiscal Year Research-status Report
歯の形態形成における一次繊毛遺伝子と外的環境因子の関わり
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19K19305
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
緒方 佳代子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (70830123)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯 / 発生 / 石灰化 / MIM / MIH |
Outline of Annual Research Achievements |
Molar Incisor Hypomineralization(MIH)や Molar Incisor Malformation(MIM)は、第一大臼歯、切歯といった特定の歯種に限局した形成異常を生じる。しかしながら、これらの原因はいまだ明らかになっておらず、MIHやMIMといった形成異常を呈する歯は、成長発達期である小児においては健全な口腔機能の獲得に不利となる。 そこで、本研究では培養細胞と実験動物を用いて、MIHとMIMの発症原因を遺伝的因子と環境因子の両方向から探索し、歯の形成への個々の影響とその相乗効果を検証することを目的とする。 本年度は、MIMに特徴的に現れる歯髄腔の異所性石灰化に着目した解析を行った。具体的には、培養細胞を用いて外的環境因子の影響を想定し解析を行った。マウス歯乳頭由来細胞株(mDP細胞)を使用し、培地にビタミンや薬剤を添加し、石灰化を誘導する因子の検討い、qRT-PCR解析、ELISA法、Arizalin Red染色により評価を行った。また、mDP細胞を用いてマイクロマス培養法により軟骨細胞へ分化誘導を試み、培地にビタミンや薬剤を添加し、軟骨細胞分化へ誘導する因子を検討し、qRT-PCR解析、Alucian Blue染色により評価を行った。 さらに、福岡学園 倫理審査委員会の承認を得たのち、ヒトの抜去歯よりヒト乳歯歯髄由来間葉系細胞を採取し、培養条件の検討を行い、mDP細胞同様に解析を進めている。 遺伝的因子に関しては一次繊毛遺伝子に着目し、培養細胞を用いた免疫細胞化学染色法の条件検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivoの解析が開始できていないことから、当初の予定よりやや遅れている。その理由として、in vitro におけるマウス歯乳頭由来細胞株(mDP細胞)の骨様変性促進に関わる具体的な物質の探索に時間を要したためである。また、当初は予定をしていなかった、mDP細胞を用いた軟骨細胞分化に関わる物質の探索の検討も行ったことや、ヒトの抜去歯よりヒト乳歯歯髄由来間葉系細胞を採取し、採取方法や培養条件の検討、それを用いてmDP細胞同様に解析を進めたことも要因として挙げられる。 現在は、mDP細胞において、骨様変性促進に関わる具体的な物質の絞り込みが進んでいるため、今後はマウスに投与を行い、モデルマウス作製に取り組み、組織解析を進めて遅れを取り戻す予定にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでのin vitroの解析で得られたデータをもとに、MIM・MIHのモデルマウスの作製および、それを用いた関連遺伝子群の発現を免疫組織化学染色を行い評価し、組織学的解析を進める。また、ヒトの抜去歯より得られたヒト乳歯歯髄由来間葉系細胞を用いて現在進行しているmDP細胞同様の解析を進め、ヒト疾患としての解析により近づけていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品の購入が必要なくなったこと、実験動物の維持費がなかったこと、および学会出張を見送ったことなどにより次年度への繰り越しが生じた。次年度使用額となる研究費は物品費、実験動物維持費、および研究成果発表のための学会参加の旅費として計上する。
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Research Products
(3 results)