2019 Fiscal Year Research-status Report
職場環境が歯科疾患に与える影響と歯科疾患による労働遂行能力低下を明らかにする研究
Project/Area Number |
19K19306
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐藤 遊洋 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60824737)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産業歯科保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
労働者においても,う蝕や歯周病などの歯科疾患は有病率が高く,経済的負担も大きいことが知られている.仕事のストレスなどの職場環境が口腔の健康に負の影響を与えていることは報告されている.しかし,先行研究のほとんどが横断研究であり,縦断的な調査が必要である.また,歯科疾患は通院による欠勤(absenteeism)などが原因で多大な労働損失を引き起こしている.しかし歯科疾患による労働遂行能力の低下(presenteeism)は考慮されておらず,歯科疾患による労働損失は過小評価されている可能性がある.本研究では,歯科健診データを含んだ職域コホート研究を新たに立ち上げ,職場環境要因が歯科疾患の発症に与える影響を明らかにし,歯科疾患が労働遂行能力の低下に与える影響の大きさを明らかにする. 現在,1つの事業所にて歯科検診を質問紙調査を実施した.しかし参加人数が少なかったため解析が行えていない.そのため,本年度にて,別の事業所にても調査を行う予定となっている.また,職場環境要因と歯科疾患の関連の文献レビューのため,文献を収集している.これまでの産業歯科保健研究では,職業性の化学物質曝露による歯牙の酸蝕症に注目している研究が多かった.近年になり,職業性ストレスなどの職場環境要因が歯科疾患に与える影響が研究されてきている.しかし,先行研究の限界として,仕事の要求度・コントロールモデルや努力・報酬不均衡モデルなどの確立されている職業性ストレス指標を用いていなかったり,歯科疾患が自己報告であったり,研究デザインが横断研究であったことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初協力予定であった事業所から,個人情報の問題で歯科検診実施が困難となった.次年度では,他の事業所(約1,500名)を対象に調査を行う予定となっており,すでに許可を得ている.また随時,調査協力してもらえる事業所を募集し交渉している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,本年度より進めていた,職場環境要因と歯科疾患の関連の文献レビューを論文化し投稿をする予定である.さらに,新たな事業所にて歯科検診調査と質問紙調査を実施する予定である.通常の健康診断データを取得し,データをマージする予定である.次年度中には,職場環境要因が歯科疾患の発症に与える影響の断的関連を検討する.
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Causes of Carryover |
当初協力予定であった事業所での歯科検診調査が中止となり,本年度は使用が減ったが,次年度では歯科健診調査を実施するため,経費の確保が必要となった.
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