2020 Fiscal Year Research-status Report
子どものう蝕と野菜から食べる “ベジファースト”との関連についての検証
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19K19310
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 奏 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10736474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベジファースト / 野菜 / う蝕 / 社会経済状態 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
2015~2018年度の縦断データを用いて、ベジファーストとう蝕との関連を検証した。2015年度の時点で足立区の小学校へ通う小学1年生であった児童を対象とし、2015年度(小学1年生)、2016年度(小学2年生)および2018年度(小学4年生)時点でのデータを用いた。2018年度のう蝕(DMFT:decayed, missed due to decay, and filled teeth)の本数をアウトカム、“ベジファースト習慣を2015年度から2016年度までの1年間続けたこと”を説明変数、幼稚園の種別(私立、公立)、児童の性別、兄弟の人数、母親の教育歴、世帯所得、野菜の接種頻度、清涼飲料水の接種頻度、間食の頻度、および2015年度のう蝕罹患状態を調整因子として設定し、ポアソン回帰分析を実施した。全回収データ4,290名(回収率80.8%)のうち、使用項目に欠損がないデータ3,670名(男児:1,881名、女児:1,786名)を解析対象とした。2015年度から2016年度の1年間ベジファースト習慣を続けた者の割合は5%であり、全くベジファースト習慣のない者は82%であった。2018年度の時点で26%がう蝕に罹患していた。ベジファースト習慣を継続した者は、習慣がない者に比べ、統計学的有意に2018年度のう蝕罹患の割合が少なかった(p<0.001)。また、2018年度にう蝕がある者は社会経済状態が低く、歯科保健行動が不良である傾向が示された(p<0.05)。多変量ポアソン回帰分析の結果、う蝕に関連すると考える因子を調整した上でも、統計学的有意にベジファースト習慣を継続した者の方が、習慣を持たない者に比べてう蝕の本数が少ない傾向が示された(DMFTの本数:PR (95%CI)= 0.68 (0.48-0.97))。本研究より、ベジファースト習慣は社会経済的地位、歯科保健行動、食習慣を考慮しても、子どものう蝕を減少させる可能性が高いと考えられ、親の社会経済的地位に依存する幼少期のう蝕格差を是正することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断データの結果について解析し、2020年度World Congress on Public Healthにて発表済みのため。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析についてさらに精査する。特に欠損値の扱いについて検討が必要であり、必要に応じてmultiple imputationを行う予定である。その上で論文執筆を進め、学術誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
新型インフルエンザの蔓延等の影響で予定していた学会等が全てオンライン開催となったため、旅費を使用することがなかった。当初予定していなかったが、感染対策として必要になった物品等を購入する予定である。
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