2023 Fiscal Year Annual Research Report
オゾンナノバブル技術を応用した殺菌性口腔内保湿剤の開発と臨床応用
Project/Area Number |
19K19317
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
片岡 正太 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40808010)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸素ナノバブル / 次亜塩素酸ナノバブル / 口腔細菌叢 / 口腔保湿剤 / 口腔洗口剤 / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はナノバブル水を応用して、誤嚥の疑いや有病・多剤服用高齢者に対して使用可能な殺菌性口腔ケア用保湿剤を開発することを目的とする。 まず、ナノバブル水の口腔内細菌叢に対する有効性の検討をおこなった。歯科臨床で使用されているのはオゾンナノバブル水であるが、O3からO2への不安定性や抗菌活性の幅が広く、口腔内細菌叢のバランスを崩す可能性があるという問題があった。そこで、酸素ナノバブル水とHOClナノバブル水を用いた臨床応用の可能性について検討した。 唾液細菌叢に対する各ナノバブル水の影響を調べるため、2つの歯科医院を受診した男性患者16名(30~70歳、中央値:53.5歳)を対象とし、吐唾法により唾液を採取した。DNA抽出を行い、次世代シーケンサー(MiSeq)によるメタ16s解析を行った。加えてPorphyromonas pasteriを通常通り嫌気的条件下で培養し、超純水およびHClOナノバブル水に経時的に曝露し、CFUカウントを行った。 その結果、α多様性、β多様性ともに有意な変化は見られなかった。唾液細菌叢のバランスを著しく崩すことなくマイルドに作用したと思われる。上位7属の細菌を比較した多重比較検定の結果、Porphyromonas属で、対照とHOClナノバブル水の間に有意な差を示した。In vitro実験の結果、P. pasteriはHClO暴露後、対照群と比較して有意にCFUが減少した。 本研究の結果、O2ナノバブル水、HOClナノバブル水ともに口腔内細菌叢の菌叢バランスに有意な変化を及ぼさず、HClOナノバブル水は初期バイオフィルム形成に関与すると報告されているP. pasteriの増殖を抑制することが示された。 最終年度である本年度は以上の研究結果を論文にまとめ、Scientific Reportsに投稿してパブリッシュされた。
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