2019 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアによる摂食嚥下障害の新たな診断方法開発とリハビリテーション効果の検証
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19K19323
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
矢島 悠里 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (50803219)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Sarcopenic Dysphagia / サルコペニア / 嚥下造影検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、サルコペニアによる嚥下障害であるSarcopenic Dysphagiaが関心を集めている。一方、Sarcopenic Dysphagiaの診断基準に対する検討は十分ではなく、特に、「身体機能」に相当する「嚥下機能」に関する検討は十分に行われていない。そこで、摂食嚥下機能評価に汎用される嚥下造影検査(VF)を用い、舌骨や喉頭の移動距離、移動速度を算出し、Sarcopenic Dysphagiaとの関連を検討することで、診断基準としての妥当性を検討しようとするものである。さらに、この妥当性の検討過程においては、栄養管理を含めた摂食嚥下リハビリテーションの介入を行い、前向き研究にて検証することが目的である。 初年度の調査では、嚥下機能の客観的な指標を導き出すことを目的とする。摂食嚥下機能評価のゴールドスタンダードであるVFを用い、全身のサルコペニアと実際の摂食嚥下機能との関連を明らかにするため調査を行った。対象は摂食嚥下障害を主訴として日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックに来院した132名(平均年齢80.4±8.8歳)である。基本情報として骨格筋量、栄養状態、摂食機能などの調査を行い、Asian Working Group for Sarcopeniaが提唱するサルコペニアの診断基準2014によりサルコペニア群、非サルコペニア群に分類した。対象者のうちサルコペニアと診断された者は47名(男性20名:平均年齢83.2±6.9歳、女性27名:平均年齢85.3±6.9歳)であった。さらに、対象者にVFを行い画像から嚥下器官の動態を測定し、嚥下器官の動態とサルコペニアの有無との関連について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度、全身のサルコペニアと実際の嚥下機能との関連を明らかとするために調査し、対象者のVF画像から嚥下器官の動態を測定、嚥下器官の動態とサルコペニアの有無との関連について検討を行っている。しかし、2019年にAsian Working Group for Sarcopeniaが提唱するサルコペニア診断基準の変更により、これまでの基準に加えて追加測定が必要な項目もあり、項目追加での方法を検討している。 次年度以降のリハビリテーションによる介入調査を行うにあたり対象者数の増加を図るため、調査項目の選定と共に引き続き横断調査を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の調査では、サルコペニアと診断された者に対して群分けを行い、能動的な摂食嚥下リハビリテーションと受動的な摂食嚥下リハビリテーションの介入を行うことによって、リハビリテーション効果を検証することが目的である。 昨年度サルコペニアの診断基準変更もあり、追加での測定が必要な項目もあるため、引き続き横断調査を継続し新たな測定方法での検討を行うとともに、群分けによるリハビリテーション介入の効果を検証のためにも、横断研究の対象者数増加を図りながら介入調査を実施していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由として、初年度購入予定であったInbody S10が高額であり購入を見合わせたこと、次年度以降のリハビリテーション介入実施時の必要物品の調整が必要であったことがあげられる。 また当初想定していた消耗品の消費期限がある物も多かったため、次年度購入になったことも一因である。そのため、次年度に必要に応じた消耗品、リハビリテーションに必要な物品の購入を行うとともに、学会発表等も積極的に行っていく予定である。
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