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2019 Fiscal Year Research-status Report

歯周病原菌由来の分泌小胞に着目した歯周病関連気管支・肺炎の病態解明

Research Project

Project/Area Number 19K19328
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

味野 範子 (塩津範子)  岡山大学, 大学病院, 医員 (90771452)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywords細胞外分泌小胞
Outline of Annual Research Achievements

歯周病による歯の喪失は食生活・社会生活に支障をきたし,ひいては全身の健康に影響を与える。歯周病を惹起する歯周病原菌は,歯周組織の上皮や硬組織を破壊するだけでなく,口腔領域外の組織の炎症にも関与することが分かってきた。その中でも,歯周病原菌による気管支炎や誤嚥性肺炎の重症化は生命の危険に直結するため,特に高齢者では大きな問題となっている。しかし,歯周病原菌が気道や肺の炎症を増悪する分子メカニズムはよく分かっていない。私は,歯周病原菌が放出する『細胞外分泌小胞』が上皮防御機構を破壊し,呼吸器系組織の炎症を誘導する可能性を見出した。
当該年度は,1.歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』の生体内の動態を調べた。2.歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』の肺上皮細胞に対する影響を調べた。3.『細胞外分泌小胞』に含まれる病原因子を同定した。
歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』を標識し,生体内での動向を可視化することに成功した。『細胞外分泌小胞』は,肺に集積した。培養細胞を用いた実験により,『細胞外分泌小胞』は濃度依存的に肺上皮細胞に細胞死を誘導した。カスパーゼ3の活性化やその基質であるPARPの断片化が検出されたことから、この細胞死はアポトーシスであると考えられた。回収した『細胞外分泌小胞』からタンパク質を抽出し,質量分析により解析したところ,菌固有のタンパク質分解酵素などが含まれていた。以上の結果より,歯周病原菌は『細胞外分泌小胞』を介して細胞障害性因子を肺に到達させ,肺上皮細胞に細胞死を誘導すると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は,2年をかけて以下の3つの点について研究を進める計画であった。
1.歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』の組織・細胞障害性を調べる。
2.『細胞外分泌小胞』に含まれる病原因子を同定し,その細胞障害性について調べる。
3.歯周病原菌の病原性の違いが『細胞外分泌小胞』の内容物と組織障害性に関与するか。
このうち,1.2については,実験のかなりの部分を遂行することができ,すでに論文投稿の準備をしている。

Strategy for Future Research Activity

計画に沿った研究活動が行えており,今後も滞りなく実験を進める。現在は,歯周病と誤嚥性肺炎との関連に着目した研究を行っているが,今後は,他の分野や領域の研究者とも共同研究を進め,原因がよく分かっていない間質性肺炎おける歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』の役割についても解析したい。また,複数のジャーナルから本研究に関する論文投稿の依頼がきており,対応していく予定である。

Causes of Carryover

当該年度に予定していた調査・資料収集のため参加予定であった学会への参加を見送ったり,開催自体が中止になったため残額が生じたが,次年度に調査および成果報告を行うため,当該費用に支出する予定である。

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Published: 2021-01-27  

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