2020 Fiscal Year Research-status Report
オーラルフレイルの早期発見を目指した気圧計を応用した口唇機能の検証
Project/Area Number |
19K19341
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Research Institution | Tokyo Dental College Junior College |
Principal Investigator |
菅野 亜紀 東京歯科大学短期大学, 歯科衛生学科, 准教授 (90709859)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オーラルフレイル / 口唇閉鎖圧 / 複合センサ / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請期間では、2017年7月付けで特許が認められた「口腔または咽頭の気圧をモニタリングする装置」(特許第6174965)を応用した複合センサを使用した実験を計画した。先行研究で進めてきた複合センサでの口輪筋の筋電図記録と従来の表面電極での記録を比較した結果から、両者には高い相関があることが示された。この結果に加えて、複合センサは、口腔内圧、口唇閉鎖圧、口輪筋筋電図の3項目が同時に記録可能であること、口に咥えるだけで測定可能であるため短時間で測定可能であること、従来の表面電極のように皮膚表面をアルコールで拭う必要がなく対象者への侵襲が少ないことなどの結果から、口唇機能評価のための有効なツールであることが示唆された。これらの結果はJ Oral Rehabili へ論文投稿して掲載に至った。また、このセンサは「口腔ケア支援ツール」として2020年3月付けで特許が認められた(特許第6637877号)。 この複合センサの有用性をもとに、サルコペニアとの関連が確認されている既知の因子との相関を検証し、口唇機能の低下がサルコペニアとどの程度関連しているかについて、検証していく予定である。 口唇に着目した検証結果から、歯科医療従事者以外にも観察可能な着眼点を見出すことによって、患者自身はもちろん、家族や介護に関わる者が、口腔機能の低下に気づきを得て、早期発見、早期治療に繋げていくツールとなることを目指していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で使用する複合センサの入荷が2020年度の段階で1年の遅れが生じたことに加え、新型コロナウイルス感染の流行、感染拡大という状況から緊急事態宣言が発出されたため、対象者と社会的距離を確保できない本実験は、協力者を募ることが困難となり、研究プロセスが大幅に遅れることとなった。 そのため、新型コロナウイルス対策を講じた新たな実験方法の検証が必要であり、アクリル板等を設置し、さらに対象者と距離を生じた際に、複合センサを口唇に挟めているかを確認するためのカメラとモニタの準備等に時間を要することとなった。 また、実験に必要であったグローブやマスク等の個人防護具や消毒用アルコールは医療機関で不足する状況であったため、実験用として確保できるまでに時間を要し、実験を見合わせざるを得ない期間が生じる事態となった。
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Strategy for Future Research Activity |
納品が大幅に遅れていた複合センサは2020年度に入り完納され、新型コロナウイルスの感染拡大により、入荷が遅れていた感染防護具や消毒薬は最小限で確保できた。 ただし緊急事態宣言中は人を対象とする実験は見合わせる必要が生じることも考慮して、新型コロナウイルス感染対策を講じた実験方法の手順を確認をしながら、宣言の解除後にただちに実験を再開できるよう、対象者を患者からボランティアに変更して研究を進める方針である。
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Causes of Carryover |
予定していた学会は延期およびWeb開催となったため旅費の支出が全くなかった。また、新型コロナウイルス感染により大幅に研究が遅延しており、データ解析の人件費が生じなかった。対象が人であるため、今後の感染拡大の影響が懸念されるが、次年度は可能な限り実験を行い、データ解析の人員、論文の校閲料等で支出額は増額される見込みである。
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Research Products
(2 results)