2019 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病を中心とした認知症高齢者に対する円滑な口腔衛生管理方法の開発
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19K19342
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
白部 麻樹 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30814818)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔衛生管理 / 認知症 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
要介護高齢者の口腔衛生管理は、これまで脳卒中を原因とした要介護高齢者を中心に検討および対応が行われており、認知症に焦点を当てた口腔衛生管理に資する知見は不十分で、標準化した対応方法も提示されていないのが現状である。本研究の目的は、増加する認知症高齢者に対する円滑な口腔衛生管理をその容態に応じ、適時・適切に提供できるための基礎データの収集・解析、および対応方法を提示することである。 2019年度実施の調査に参加したアルツハイマー型認知症(AD)高齢者121名(88.0 ±6.4歳)を対象とし、認知症重症度(Functional Assessment Staging:FAST)、認知症行動障害(Dementia Behavior Disturbance Scale:DBD)、口腔清掃への拒否を調査した。 その結果、口腔清掃への拒否がある者は、FAST4~5で21.1%、FAST6で41.7%、FAST7で47.3%であった。また、口腔清掃への拒否と有意な相関がみられたDBDの項目は、FAST4~5では「世話をされるのを拒否する」(r=0.671)、「理由もなく金切り声を上げる」(r=0.548)、「義歯のしまい込み」(r=0.535)、「口汚くののしる」(r=0.517)、「特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける」(r=0.484)の5項目で最も多かった。FAST6では「世話をされるのを拒否する」(r=0.413)、FAST7では「世話をされるのを拒否する」(r=0.492)、「暴力をふるう」(r=0.425)、「口汚くののしる」(r=0.319)であった。 以上より、口腔清掃への拒否がある者の割合は認知症が重度な者ほど多いことが明らかとなった。AD高齢者の拒否等の実態が明らかとなり、拒否に関連する行動障害をふまえた口腔衛生管理課題への対応方法を提示するための基礎資料を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり調査を実施でき、初年度に収集すべきデータの蓄積を行った。 口腔衛生状態および口腔機能等の実態を把握できるよう、統計解析の手法をさらに検討して進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、口腔衛生管理課題を整理し実態を把握し、対応方法を提示するため、初年度と同じ項目について経年的なデータを蓄積および縦断データの解析を行う。調査の実施については、情勢等に応じて、調査方法を検討する必要があると考えられる。
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Causes of Carryover |
今年度の調査実施に際し、他研究事業との連携の上で行われ、消耗品等の購入がなくなった。 次年度も同様の調査を実施予定であるが、通常計画していた消耗品等の購入に加えて、新型コロナウイルス感染防止対策等を考慮して、消耗品等の購入が増えることが想定されるため、合わせて使用することを予定している。
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Research Products
(1 results)