2020 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病を中心とした認知症高齢者に対する円滑な口腔衛生管理方法の開発
Project/Area Number |
19K19342
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
白部 麻樹 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30814818)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 口腔衛生管理 / 認知症 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、増加する認知症高齢者に対する円滑な口腔衛生管理をその容態に応じ、適時・適切に提供できるための基礎データの収集・解析、および対応方法を提示することである。昨年度、認知症重症度、口腔清掃への拒否との関連を明らかにした。 今年度は既存のデータも活用し、アルツハイマー型認知症(AD)高齢者555名(男性76名、女性479名、平均87.3±6.2歳)のデータベースを作成して、さらに認知症重症度と、口腔清掃への拒否、口腔衛生状態および口腔機能との関連について検討を行った。 その結果、認知症重症度(Clinical Dementia Rating, CDR)が高いほど口腔清掃への拒否がある者の割合が高かった(p<0.001)。認知症重症度別に、口腔清掃への拒否の有無と口腔衛生状態を検討したところ、CDR 1(軽度)群では拒否がある方がプラークの付着が多く、口臭が強い者が多かった(p<0.05)。またCDR 3(重度)群では拒否がない方が食渣の付着が多い者が多く(p<0.05)、背景にある関連因子についてさらに検討する必要がある。また、口腔機能については、口唇や舌の運動機能、嚥下機能はCDRの重症度が高いほど、機能が低下していることも示された(p<0.001)。 以上より、AD高齢者の認知症重症度と口腔清掃への拒否、また口腔清掃への拒否と口腔衛生状態に関連があることが明らかとなった。次年度は、これらの結果を基に、認知症重症度ごとの口腔衛生管理課題への対応方法をまとめる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大のため、計画通りに調査を実施することはできなかったが、既存のデータを活用することにより、実態の把握については検討することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に研究を進める上で課題となった対象者数の少なさについては、今年度、横断的なデータベースを構築したことで、より詳細な解析を実施することができた。 次年度は、縦断的なデータの収集を含めてさらなる検討を進め、最終成果物である、認知症重症度ごとの口腔衛生管理課題への対応方法を提示する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、計画していた調査を実施することができなかった。 次年度は実施予定であり、感染防止対策を講じる必要があるため、調査に必要な物品費として合わせて使用することを予定している。
|
Research Products
(3 results)