2021 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病を中心とした認知症高齢者に対する円滑な口腔衛生管理方法の開発
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19K19342
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
白部 麻樹 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30814818)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔衛生管理 / 認知症 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は認知症重症度(Functional Assessment Staging; FAST)別に口腔衛生管理に関連した基礎データの収集・解析、さらにその具体的な対応方法を提示することを目的とし、昨年度までにデータベースを構築した。今年度は、さらにデータクリーニングを行い、マルチレベル分析を用いて、FAST別の口腔衛生管理に関する項目の検討を行った。 その結果、口腔ケア介助拒否がある者の割合がFASTが重度なほど2.9倍高くなる(性・年齢調整済み)ことが明らかとなった。また、他の項目(FASTのオッズ比)においては、リンシング不可(5.3倍:性・年齢調整済み)、プラークの付着(1.5倍:性・年齢・現在歯数調整済み)において有意差が認められたが、歯磨きの自立度および舌苔の付着については有意差は認められなかった。 本研究結果から、FAST軽度では重度に比べてプラークの付着が少なかったものの、プラークの付着が多い者も約3割いたことから、本人の自立度を維持しながらも、口腔衛生状態の管理は介護者や専門職が実施する必要があると考えられた。以上の基礎データの解析を基に、認知症重症度別の口腔衛生管理に関する具体的な対応方法について検討した。FAST軽度では歯磨きにおける本人の自立度を維持できるように実施を促し、かつ磨き残しの有無や口腔内の観察は可能な限り介護者や専門職が行う必要がある。FAST3以降では舌苔の付着が顕著になることから、歯のみならず舌のケアも重要になる。さらにFAST重度ではリンシングが十分に行えない者が増えるため、口腔内に食渣等が残らないように十分に配慮する必要がある。 今後は、口腔ケア介助拒否と介護者が感じる行動について調査を行い、その行動に応じた対応をより詳細に提示できるように検討していきたい。
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Research Products
(1 results)