2019 Fiscal Year Research-status Report
情報共有に必要十分な診療録を判別する定量的な尺度の開発:次世代電子カルテに向けて
Project/Area Number |
19K19347
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
香川 璃奈 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10824675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | EHR |
Outline of Annual Research Achievements |
医師は患者さんを診察すると、患者さんの訴え、それに基づき医師が考えたこと、最終的な患者の疾患と治療方針などを、電子カルテに記載する。しかし、電子カルテの記載内容がチーム医療において各医療者間での情報共有に十分かどうか評価する指標が存在しない。本研究では定量的な指標を作成し、新しい電子カルテをデザインする。 診療記録の電子化によりデータを共有する技術的基盤は整った。その一方で、診療記録の中でも自由記述されるプログレスノートは、現状の質では情報共有に不十分であるにも関わらず、質を測定できる広く知られた尺度が存在しない。本研究は多職種間での情報共有に適した診療録とは何かとの問いのもと「どの職種間で、何の情報を共有するために、何の医療行為を、行った理由の記載があるプログレスノートが有用か」を明らかにする。医療行為を行った理由の記載はネットワーク分析やクラウドソーシングなどの手法を組み合わせることで、文法的な特徴に止まらない臨床現場の特性を多角的に踏まえた定量的な測定を可能にする。医療行為の理由の記載と、記載によって共有できる情報の組み合わせに基づいて、読み手にとっても必要十分な記載を促す実用的な測定尺度を開発し、医療者の思考過程に沿った記載を支援する次世代電子カルテの構築の基盤とする。 2019年度は、(実験A)医療行為の理由が記載されている診療録の特徴を定量的に明らかにするための前段階として、まず現在の診療録にどのような内容が記載されているかの調査を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(実験A)医療行為の理由が記載されている診療録の特徴を定量的に明らかにするための前段階として、まず現在の診療録にどのような内容が記載されているかの調査を行なった。 また、研究材料を増やすための匿名化処理を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は2019年度の実験をもとに、以下の実験を進める。 (実験A)医療行為の理由が記載されている診療録の特徴を定量的に明らかにする
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、既存のプログレスノートに記載されている内容について、医師や看護師にアンケート調査などを行う予定であった。しかし、医療資格を持たないクラウドワーカーに実験を行なってもらったところ、想定以上に良い回答を得られたため、クラウドワーカーからのデータ取得を行なった。これにより利用が必要な予算を削減できたので次年度使用とする。この予算は(実験A)にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)