2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of regional medical cooperation system for appropriate use of outpatients oral antimicrobial agents
Project/Area Number |
19K19356
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
八木 祐助 高知大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (30717351)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外来経口抗菌薬 / 抗菌薬使用密度 / 抗菌薬使用日数 / 抗菌薬適正使用 |
Outline of Annual Research Achievements |
処方量解析システムを用いて、高知大学医学部附属病院(以下、当院)における2019年度のペニシリン系、第3世代セファロスポリン系、マクロライド系、キノロン系の4系統における外来経口抗菌薬の使用密度AUD(DDDs/1,000outpatients/year)および使用日数DOT(DOTs/1,000 outpatients/year)を算出した結果、ペニシリン系はAUD:46.6 、DOT:49.6、第3世代セファロスポリン系は、AUD:37.2、DOT:42.9、マクロライド系は、AUD:220.7、DOT:249.0、キノロン系は、AUD:54.0、DOT:59.6であった。また、2019年度の当院延べ外来患者257,777名のうち感染症関連の保険病名登録は257,777名(100%)であり、使用目的が客観的に不適正と判断された症例として診療報酬請求上の査定および返戻事例が130名(0.05%)、風邪症候群への使用が全体の531名(0.2%)で確認できたことから、不適正使用是正の必要性が示唆された。さらに、継続的なデータ収集が必要ではあるが、単年で見ても経口抗菌薬4系統の中で外来医療におけるマクロライド系抗菌薬の使用量が多い実態を基に、使用量抑制に向けた経時的な監視および介入の必要性が示唆された。以上の背景から、本研究において抗菌薬の使用実態や科学的根拠に基づき作成を行う抗菌薬適正使用推進のための手引きは、教育や啓発を目的に医師等の医療従事者や患者を対象としており、既に患者向けの手引きは作成し、院内および地域の保険調剤薬局で導入した。一方、医療従事者向けの手引きは2020年9月30日までの作成および院内での導入を目指しており、手引き導入前の2019年度データと手引き導入後の2020年度データを比較して、外来経口抗菌薬の使用量および薬剤費について統計的解析を行い、本手引きの有用性の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で実施している外来経口抗菌薬の使用量調査については、自院独自のシステムデバイスから継続的なデータ蓄積および抽出を行うことができている。また手引き作成については、医療従事者向けの手引きにおいて、エビデンスの評価や専門家からの意見を整理することに時間を要しており、当初の計画よりも3ヶ月程度遅れることが予測される。そのため、2021年度以降の院内および他施設におけるデータ収集期間を1年間から6ヶ月間へ修正を行う予定ではあるが、解析に要するデータの必要数に影響はないと考えている。 2021年度以降に予定している研究については、地域ネットワークで外来経口抗菌薬の使用量調査を統一して収集するシステムを現在構築中であり、システムの仕様策定や費用面に関して現段階で問題はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究での外来経口抗菌薬の使用量調査および手引き作成においては、現段階のデータ収集および解析方法で問題ないと考えており、2020年度の研究計画に変更はなく、同様の手順で実施可能である。 さらに、2021年度に重点的に行う地域ネットワークでの外来経口抗菌薬調査システムおよびデータ解析システムの構築ならびに運用については、多施設共同事業となることからベンダーとの協議を早期から進め、円滑に実施できるよう対応していく。
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Causes of Carryover |
抗菌薬適正使用推進のための手引き作成にあたる費用および研究実績発表および研究関連の情報収集に必要な旅費等の経費について一部未執行である。また、地域ネットワークで使用する外来経口抗菌薬調査システムおよびデータ解析システムの運用に関して、ベンダーと協議中であり、物品費については未執行である。以上の理由から、未執行経費については、次年度以降の使用を予定している。
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