2020 Fiscal Year Research-status Report
術中心停止に対する迅速かつ安全な心肺蘇生法の確立:実地シミュレーションによる検討
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19K19364
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小西 康貴 帝京大学, 医学部, 助教 (00779506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 術中心停止 / 側臥位 / 胸骨圧迫 / シミュレーション / In situ simulation / 心肺蘇生 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術中の心停止は致死的な周術期合併症であり、胸骨圧迫を含めた心肺蘇生を即座に開始する必要がある。しかし、特に腹臥位や側臥位などの非仰臥位手術では、胸骨圧迫を行うにあたり仰臥位に体位変換するなど困難を伴う。本研究は、術中心停止に対し迅速かつ安全に心肺蘇生を行う方法を確立することを目的とする。まず仰臥位・腹臥位・側臥位での術中心停止を想定した手術室での実地シミュレーション(In-situ simulation)を通じ、仰臥位での胸骨圧迫開始までの時間短縮や安全性の確保に必要な要因を検討する。さらに心肺蘇生訓練用全身人体モデルを用いて非仰臥位での胸骨圧迫の有効性を検証し、仰臥位への体位変換が完了するまでの間にも胸骨圧迫をするべきかを検討する。 2020年度は麻酔シミュレーションの実施に必要な環境整備と人員の配置を検討するため、医学生の臨床実習に麻酔シミュレーションを導入した。実臨床に即した状況を作り出すことがIn-situ simulationを成功させる上で重要なため、バイタルサインを変動させる機器を導入した。医学生の麻酔実習前後のアンケート調査からシミュレーションの教育効果を確認することができ、その成果を学術集会にて報告する予定となっている。 また、2021年度は麻酔科後期研修医を対象に、胸骨圧迫の質を評価し、さらに心電図を含めたバイタルを変動させることができるシミュレーターを搭載した高機能の人体モデルを用いて、本研究の目的である非仰臥位における胸骨圧迫の意義の検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はシミュレーションを実施する際に必要な物品や人員などのリソースを把握し、麻酔シミュレーション研究の実施上の問題点の把握を行った。 2020年度は医学生の麻酔科臨床実習において、麻酔シミュレーションを年間を通じて実施し、その学習効果を評価した。また、In-Situ Simulationは実際の手術室を使用するため、緊急手術や準備に時間を要する予定手術など、予期せぬ事態が発生した場合の代替案として、様々な状況に合わせたシミュレーションを作成することができた。これらの結果を学術集会で発表する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、胸骨圧迫を行うことができ、さらに心室細動や心室頻拍など致死性不整脈の再現やそれに伴うバイタルの変化を可能にする機能を有し、手術室内での移動が容易で、価格が安価である人体モデルとして、レールダル社のレサシアンアドバンスドスキルトレーナを購入し、麻酔科後期研修を対象に非仰臥位での胸骨圧迫の評価を行う。ただ、胸骨圧迫の評価を行う、QCPRのセンサーが腹臥位になった場合に反応しないため、本研究では術中体位としては、仰臥位、45度半側臥位、側臥位の3種類を検討している。本年度は、各体位での胸骨圧迫のデータ収集および解析を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度までに研究に適した胸骨圧迫が可能なシミュレーション用の人体モデルを決定できず、2021年度にレサシアンアドバンスドスキルトレーナの購入を検討している。
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