2019 Fiscal Year Research-status Report
警察・救急データを活用した家庭内の不慮の事故に関する実態把握及び予防対策の確立
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19K19365
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Research Institution | The University of Fukuchiyama |
Principal Investigator |
垣内 康宏 福知山公立大学, 地域経営学部, 教授 (80611459)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 家庭内の不慮の事故 / 行政データ / セーフティプロモーション / 超高齢化社会 / 在宅医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は令和元年度から2年度までの2ヶ年計画で、今年度はその1年目であった。既存の行政データ(死亡小票、救急搬送データ等)を予定通りのスケジュールで入手し,家庭内の不慮の事故の、1)発生月日時、2)年齢、3)性別、4)傷病程度、5)意識レベル、6)家庭内の発生場所、7)救護時のバイタルサイン、8)既往症等に関する情報を得た。そしてこれらについて詳細な統計解析を行い,危険因子等の分析を行った。 その上で、家庭内の不慮の事故でも特に、入浴関連死につき詳細な分析を行った。浴槽に肩まで長時間浸かって入浴するという生活習慣は我が国に独特のものであり,身体を清潔に保つことに加えて,疲労回復を促進する等のプラスの効用がある一方,家庭内溺死死亡率が諸外国と比較して,特に75歳以上高齢者において突出して高いという,マイナスの側面も指摘されている。この原因については,特に冬季において「寒い浴室・熱いお湯」という外的環境の中で,浴室や脱衣室の室温と浴槽内の湯温の温度差を原因とする血圧の急変動の結果,意識障害や熱中症等が生じている可能性が指摘されている。しかしながら、わが国の人口動態統計は、正確に入浴関連死の実態を反映していない可能性が高く、入浴関連死の危険因子に関する分析実施の阻害要因となっている。そのため我々は、各地域の死因究明制度の差異が、入浴関連死統計にどのような影響を与えているかを分析し、その結果を英文国際誌に発表した。次年度はその結果を踏まえ、危険因子の分析へと進む予定である。現在のところ、研究は順調に進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の行政データ(死亡小票、救急搬送データ等)による死亡・救急搬送症例の収集は順調に完了した。また,各種不慮の事故のうち,入浴関連事故等に関して先行して分析を進め,英文論文作成を完了し,国際学会誌に計2本、採択された。また,熱中症研究に関しては年度内に学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の行政データ(死亡小票、救急搬送データ等)による死亡・救急搬送症例の把握とその分析はほぼ完了し,各種不慮の事故の種類ごとに今後,さらに論文化を進める予定である。また,今後は同時に,一般医療機関の受診にとどまった軽症例や、軽症以下にとどまり受診行動に至らなかったケース(いわゆる「ヒヤリ・ハット」症例)についても質問紙調査等を実施して,より一層詳細に、各種事故の発生状況及びその危険因子等を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
国際学会誌への論文投稿費が30万円と高額だったため、前倒し申請を行ったが、最終的に所属大学の学長裁量経費等から支出することとなったため、前倒し分を使用しなかったため。
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