2021 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Grit in Medical Education
| Project/Area Number |
19K19368
|
|---|
| Research Institution | Kansai Medical University |
|---|
Principal Investigator |
唐牛 祐輔 関西医科大学, 医学部, 助教 (20826870)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | Grit / グリット / 非認知能力 / 学修成果 / 医学教育 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は学修過程におけるGritの役割を、定量的データによって検証し、医学生の学修支援に役立てることを目的とする。Gritとは長期的な取り組みを必要とする目標に対して粘り強く追及する熱意を指し、「根気」と「一貫性」の2因子から構成される。長期の学修期間を要する医学教育ではGritは重要な役割を果たすと考えられる。
これまで報告者が実施した研究からGritが普段の学業成績（GPA）や卒業試験などのハイステークス・テストの成績を予測することが示された。しかし医学教育では医学的知識のみならず医学的技能の修得も重要な課題である。そこで今年度は医学的技能・態度の試験であるPre-CC OSCE成績とGritとの関連を検討した。具体的には医学部4学年のはじめにGritを測定し、学年末に実施される共用試験OSCEの成績を予測するか重回帰分析を実施した。その結果、Gritの「根気」因子の得点が高いほどOSCE成績が高いことが示され、前年度のGPAを統制しても有意だった。またGritが高いほどOSCE試験前の自発的な自主学習（シミュレーションセンターの利用回数）が多く、この自発的努力がOSCE成績と関連することが示された。この研究成果については医学教育の国際学会AMEEでオンデマンド口頭発表を行った。
また、Grit研究の背景として、学力だけでは長期的な目標達成を説明できないという問題がある。そのため、多様な学修成果を測定する必要がある。これと関連して、日本医学教育学会のオンデマンドシンポジウムにおいて、医学生の多様な学修成果に関して、その評価体制と評価方法の設計について報告を行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も引き続き医学生のGritデータおよび学業成績の経年データを収集した。ただし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、当初予定していた時期よりデータ収集がやや遅れた。また、当初の計画では本年度までの3年分の縦断データを統合してGritが学業達成に及ぼす影響をモデル化する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で学生の学習形態が大きく転換しており、経年比較を行うことが難しくなった。加えて教学データを学外に持ち出すことができないため、遠隔授業期間中に分析を実施することができず、データの分析作業とモデルの見直しに時間がかかり、当初の計画よりも遅延している。
計画が遅延したため研究期間を延長し、今後Gritの影響過程モデルを見直すとともに、これまで蓄積したデータを再度分析し、研究成果としてまとめる予定である。
|
| Strategy for Future Research Activity |
これまで蓄積した3年分のGritおよび学業成績の縦断データを分析し、医学生のGritと長期的な学業達成の関係についてモデル化を行う。当初予定していた経年データの縦断的分析を中心に行うが、それだけでなく様々な学修成果との関連について広く検討を行う。具体的にはGritと遠隔学修における学修成果との関連を分析し、対面授業での学修成果と比較検討を行う。また、GPAなどの知識中心の学修成果だけでなく、医学的技能・態度（OSCE成績等）との関連についても検討する。これらを組み合わせた統合的モデルを構築する。
以上の研究成果を国内外の学会で発表・報告するとともに、これまでの研究成果を学術論文にまとめて国内誌・国際誌に投稿する。
|
| Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、研究計画の見直しが必要となった。そのため研究期間を延長し、次年度以降にデータ分析やモデル化を実施する予定である。次年度に繰り越した研究費については、研究成果の報告（学会発表や論文投稿）に充当することで適正に執行する。
|
