2021 Fiscal Year Research-status Report
介護報酬におけるアウトカム評価導入の効果と弊害の検証
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19K19370
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
岩本 哲哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (40782412)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 介護保険 / 介護老人保健施設 / アウトカム評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、厚生労働省が保有する公的統計データの個票を使用した個人単位で連結可能なデータベースを構築し、介護保険制度下におけるリハビリテーションの効果と介護報酬におけるアウトカム評価導入の効果・弊害について明らかにすることである。具体的には、厚生労働省が保有する公的統計データ(全国介護レセプト、人口動態調査の死亡票、介護サービス施設・事業所調査)を統合し、要介護高齢者が個人単位で長期間追跡可能なデータベースを構築すること、構築したデータベースを用いて、介護保険制度下におけるリハビリテーションの効果を検証すること、介護報酬におけるアウトカム評価導入の効果と弊害を明らかにすることである。 2021年度はこれまでに構築した厚生労働省から提供を受けた全国介護レセプト、人口動態調査の死亡票、介護サービス施設・事業所調査の個票から要介護認定から死亡まで個人単位月単位で追跡可能なデータベースを利用し、介護老人保健施設へのアウトカム評価導入の効果について検証した。 2012年の介護報酬改定におけるアウトカム指標の評価方法および報酬の見直しの影響を検証するために、2012年介護報酬改定を自然実験とみなしたDID(Difference-in-differences)推定を行った。その結果、2012年介護報酬改定以前に在宅復帰率50%以上を達成していない施設は改定後に在所日数が短縮していたが、改定前より在宅復帰率50%以上を達成していた施設については在所日数に大きな変化はみられなかった。この結果はインセンティブの拡大は改定前に指標を達成していない施設に対して効果があったことを示唆している。一方で、アウトカム評価の指標となっていない介護度の改善については、明らかな効果は認められておらず、指標やその評価方法についてはさらなる検討が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下理由により,計画よりも進捗がやや遅れている。 (1)新型コロナウイルスの感染拡大により予定していた成果発表ができなかった。 (2)研究開始時より公的統計の申請が遅れた影響で、予定していた論文投稿に遅れが生じている。 (3)分析は概ね予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2020年度に構築したデータベースを活用し、これまで分析した通所リハビリテーションの効果・介護報酬におけるアウトカム評価(介護老人保健施設におけるアウトカム評価、予防介護訪問リハビリテーション・予防介護通所リハビリテーションにおけるアウトカム評価)導入の効果と弊害の検証を引き続き実施する。分析方法に課題が残っているため、より詳細な分析を行った上で、学会発表・論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で研究計画で予定していた学会発表のための旅費やデータ処理に関する人件費が発生しなかったために次年度使用額が生じている。本年度は学会発表および論文投稿などで助成金を使用する予定である。
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