2019 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム医療における二次的所見の開示希望と情報共有に影響を与える因子についての研究
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19K19372
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
浄住 佳美 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (90794537)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 二次的所見 / がんゲノム医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、静岡がんセンター臨床ゲノム研究「プロジェクトHOPE」において検出された二次的所見の患者への返却、遺伝カウンセリングを実施し、患者の属性(年齢、性別、最終学歴、職業、婚姻状況、 家族構成、子どもの有無 など)や、本人の既往歴、がん家族歴などのデータ収集を行った。また、過去にすでに二次的所見の開示を実施した患者については、定期的に遺伝カウンセリングを行い、患者本人のサーベイランス状況や、血縁者検査の実施状況、家系内での情報共有の状況などを確認した。 二次的所見の結果開示や遺伝カウンセリングを受けた患者の反応を見ると、二次的所見の情報を自身や血縁者の健康管理に役立てようと前向きに受け止めている患者が多かったが、一方で、情報開示を希望しない症例や、情報を受け取ったものの、患者自身や血縁者の健康管理に繋がらない症例など、反応は様々であった。 これらの症例における二次的所見に対する反応の違いに関わる要因や、開示後のニーズを明らかにすることは、ゲノム医療において生じる二次的所見を適切に取り扱い、患者家族により良い遺伝カウンセリングを提供するための有用なデータとなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
静岡がんセンター臨床ゲノム研究「プロジェクトHOPE」が開始された当初、国内に二次的所見に関する指針等はなく、プロジェクトHOPEでは、国内の遺伝性腫瘍に関する文献や、米国におけるSFの取り扱いに関する勧告(SFv2.0)に基づき、二次的所見の開示対象遺伝子を選定した。 2019~2020年にかけて、国内においても、二次的所見の患者への返却に関する提言や開示推奨遺伝子リストなどが示され、これに応じて、「プロジェクトHOPE」における二次的所見の開示対象遺伝子の再検討を行い、対象遺伝子の更新を行った。 この作業により、研究所から病院への二次的所見の返却が遅れており、患者への二次的所見の開示の進捗も、当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、患者への二次的所見の開示と遺伝カウンセリングを実施し、症例の蓄積と、患者の属性やがん家族歴等のデータ収集を行う。 さらに今後は、二次的所見の結果開示を行った患者とその血縁者の遺伝カウンセリング記録のうち、結果開示を希望する理由、結果の受け止め方、再検査に対する考え、家族との情報共有に対する考え、困難に感じていること、などに関する患者の発言の記録をコーディング、カテゴリー化し、遺伝カウンセリング記録(質的データ)の分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度に参加を予定していた学会、研修会、セミナー等が、一部中止・延期となり、旅費の使用額が減ったため。延期となった研修会、セミナー等は2020年度の開催が見込まれるため、次年度使用額は、2020年度請求額と併せて使用する予定。
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