2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム医療における二次的所見の開示希望と情報共有に影響を与える因子についての研究
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19K19372
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
浄住 佳美 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (90794537)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二次的所見 / 遺伝カウンセリング / 臨床ゲノム研究 / がんゲノム医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、静岡がんセンター臨床ゲノム研究「プロジェクトHOPE」に参加した症例のうち、約5000症例分で検出された二次的所見の患者への返却、遺伝カウンセリングを実施した。同時に、患者の属性(年齢、性別、職業、婚姻状況、家族構成、子どもの有無 など)や、本人の既往歴、がん家族歴、患者本人のサーベイランス状況についてデータ収集を行った。二次的所見を開示した症例については、遺伝カウンセリングを継続中である。 これまでに、遺伝性腫瘍関連遺伝子の二次的所見を認めた症例のうち、検出された病的バリアントに関連する遺伝性腫瘍の既往、または、家族歴がある患者は約7割であった。網羅的遺伝子解析のにより、従来ならば見逃されていた、隠れた遺伝性腫瘍症候群が、二次的所見として見つかった。 二次的所見の開示がきっかけで、血縁者の遺伝子検査や発症前のサーベイランスの開始、血縁者のがんの早期発見につながる症例もあり、二次的所見を報告し、適切なサーベイランスに繋げることは、患者本人および血縁者にとって医学的メリットがあると考えられた。 しかし、開示を希望しない症例、開示を拒否した後に開示を希望する症例、開示を受けたものの血縁者との情報共有が進まない症例もあり、二次的所見の受け止め方は個々の状況によって異なるものであった。 二次的所見の受け止め方に関わる要因や、開示後のニーズを明らかにすることは、がんゲノムプロファイリング検査における生殖細胞系列由来であることが推定される病的バリアント(PGPV:presumed germline pathogenic variant)の開示や、全ゲノム解析において生じる二次的所見を適切に取り扱い、患者家族により良い遺伝カウンセリングを提供するための有用なデータとなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度(2020年度)に、一身上の都合により研究を中断した。 また、新型コロナウィルスまん延により、患者の来院や遺伝カウンセリング外来受診が延期になるなどの事態が生じたため、当初の計画よりも進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究中断や、新型コロナウィルスまん延による影響のため、研究期間の延長申請を行った。 2022年度中に、未開示症例について二次的所見の開示と遺伝カウンセリングを進め、データを収集する。同時に、データの集計、分析をおこない、得られた結果をとりまとめ、2023年度に成果の発表をを行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染対策の継続により、学会参加など研究のための情報収集の機会が軒並みWeb開催となり旅費の支出が減ったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、次年度以降の旅費や、論文作成のための費用(英文校正など)に使用する予定である。
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