2020 Fiscal Year Research-status Report
複数の評価項目を用いる臨床試験における統計学的方法の開発
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19K19383
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
坂巻 顕太郎 横浜市立大学, データサイエンス推進センター, 特任准教授 (30644819)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多重比較 / 多重エンドポイント / 群逐次デザイン / 臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,2019年度に開発した手法のシミュレーション研究を実施した.具体的には,複数の生存時間アウトカム(評価項目)を効率よく評価するための臨床試験デザインである,複数の評価項目に関する多重性をBonferroni手順で調整し,中間解析に関する多重性は保守的となる方法で調整するデザインの性能を評価した.その結果,2つの生存時間アウトカムに明確な順序が存在する(一方の生存時間のほうが必ず大きい)場合,その順序性がない(もしくは無視した)既存研究で見られた問題がほとんど起こらないことがわかった.開発した手法は保守的な手法となっており、この方法を使うことのデメリット(検出力の低下)だけが残ったため,開発した手法が機能する状況の探索や新たなデザインの開発を行っている.
また,2020年度は,中間解析やサンプルサイズ設計にベイズ流決定理論を用いる臨床試験に関する論文(坂巻ら, 計量生物学, 2020)を出版した.この論文は,複数の評価項目を用いて治療効果を評価する臨床試験を直接的には扱っていないが,効用とよばれる意思決定に重要な因子の定義に複数の評価項目を用いることができ,中間解析を伴う意思決定にも利用可能な方法であるため,新たな手法を考える際の基礎となる論文といえる.さらに,Covid-19に対する治療効果の評価に用いる複数の評価項目の利用,Quality of Lifeと生存時間アウトカムを用いる臨床試験におけるデザインと解析など,関連する研究を行っており、これらの知見を本研究に活用する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提案した方法の性能がシミュレーション研究によって十分でない可能性が示唆されたため,提案方法が機能する設定の探索や新たなデザインの開発をしているところである.本年度はそれらを完遂し,論文発表に繋げる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーション用のワークステーションを購入したので,シミュレーション研究における新たな設定を探索,検討する.また,ベイズ流の方法など,いままで検討してこなかった方法も存在するため,それらを参考に提案方法をブラッシュアップし,次の研究に繋げる.
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染症の対策のため,計上していた旅費を使用しなかったことが大きな理由である.差額は,ワークステーションの追加購入,論文の投稿料などに使用する予定である.
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Research Products
(1 results)