2019 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性疾患を有する子どもの親のコーテシー・スティグマに関する研究
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19K19384
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡辺 基子 順天堂大学, 医学部, 助教 (40831847)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性疾患 / Down症候群 / 両親 / 対人関係 / 適応プロセス / コーテシー・スティグマ / 対処 / 遺伝カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、遺伝性疾患を有する子どもの親の対人関係に関連した状況とその適応プロセスについて、インタビュー調査とアンケート調査により明らかにすることである。本年度は、インタビュー調査とアンケートの予備調査を実施した。 1.インタビュー調査 Down症候群を有する子どもの親23名(母親19名、父親4名)に対して、対人関係をテーマにした約60分の半構造化インタビューを実施した。インタビューはICレコーダーに録音し、音声データを文字データに変換した後、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた分析を行った。その結果、対象者の親はコーテシー・スティグマを認識、経験しており、それらに対して様々な対処法を発達させ、「晴れやかな境地」に至ることが示された。得られた成果について、遺伝カウンセリング関連の学術集会や学術雑誌にて発表の予定である。 2.アンケート予備調査 次年度実施計画のアンケート調査にあたって、インタビュー参加者の中から同意が得られた20名に対して予備調査を実施した。アンケートには、海外のコーテシー・スティグマ認識尺度も加える予定である。コーテシー・スティグマ認識尺度はネガティブな方向を測る項目から構成されるため、回答者への心理的な負担が懸念された。そこで、対象者の心理的な負担を軽減するために、日本語版の改良を行うことを目的とした調査も同時に行った。得られた結果をもとに、日本語版の改訂について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに研究が進展している。 本年度は、Down症候群を有する子どもの親に対してインタビュー調査を実施する計画であった。対象者に対してインタビュー調査への参加を依頼したところ、23名の親から協力を得られ、インタビューを実施し、インタビューの分析まで完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本年度のインタビュー調査で得られた成果に基づいて質問紙を更新する。 2.アンケート予備調査で得られた成果に基づいてコーテシー・スティグマの認識尺度日本語版の改訂を検討し、完成後は上記質問紙に加える。 3.作成した質問紙を用いて、Down症候群を有する子どもの親を対象としたアンケート調査を実施する。 4.本年度のインタビュー調査で得られた成果について、遺伝カウンセリング関連学術集会と学術雑誌にて発表を行う。
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Causes of Carryover |
今年度使用を予定していたインタビュー録音データの文字データ化依頼費(謝金)に関して、自分でも文字データ化を進めるとともに、学生からの協力も得られたため、当初の予定との差額が生じた。 次年度使用額は、主にアンケート調査に関わる費用(アンケート作成、配布、回収、集計等)や、学術集会や学術雑誌にて発表するための費用(旅費、文献収集費、論文校正費、論文受理後のオープンアクセス費等)に使用する計画である。
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