2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性疾患を有する子どもの親のコーテシー・スティグマに関する研究
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19K19384
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡辺 基子 順天堂大学, 医学部, 助教 (40831847)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Down症候群 / 親 / コーテシースティグマ / コーピング / 適応プロセス / 遺伝カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、遺伝性疾患を有する子どもの親のコーテシースティグマに関連した状況とその適応プロセスについて、明らかにすることである。調査対象は、Down症候群を有する子どもの親とし、方法にはインタビューとアンケートを用いた。 1. インタビュー調査 これまでに、23名の親(母親19名、父親4名)を対象としたインタビュー調査を実施し、親のコーテシースティグマとそれに対するコーピングについて明らかにした。そして、親の適応プロセスとして、子どもの診断によるDown症候群のある人とない人との間である中間的立場から、各々の壁のない脱境界に至るモデルを提案した。本年度はその成果を、日本人類遺伝学会の学術集会で発表した。また、論文を海外の遺伝カウンセリング学術雑誌に発表した。 2. アンケート調査 インタビュー調査の結果を基盤としたアンケート調査を、規模を広げて幅広い年齢層の子どもをもつ親に対して実施した。アンケートは、昨年度実施した予備調査の結果に基づき改訂したコーテシースティグマ尺度日本語版を用いた。加えて、インタビュー調査の結果をもとに作成したコーテシースティグマへのコーピング、帰結等の自作の尺度を含めた。研究参加者の募集は、家族会の協力を得て行った。オンラインと紙面によるアンケート調査により、536名の親(母親489名、父親45名、不明2名)から回答が得られた。Down症候群を有する子どもの年齢範囲は、0歳から50歳であった。分析の結果、コーテシースティグマ尺度日本語版は、高い信頼性を有する尺度であることが示唆された。これまでの分析では、インタビュー調査からの知見を支持する結果が得られており、データの一部について、日本小児遺伝学会の学術集会で発表した。現在、更なる分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、Down症候群を有する子どもの親を対象としたインタビュー調査の成果を、海外の遺伝カウンセリング学術雑誌に発表することができた。また、アンケート調査を実施し、必要な回答数を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査の分析を進め、得られた成果について、遺伝カウンセリング関連学術集会や学術雑誌で発表する。また、インタビュー調査とアンケート調査から得られた知見に基づく情報提供資料を作成する。
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Causes of Carryover |
今年度は、国内外の学術集会に参加予定であったが、学術集会が主にオンラインでの開催となったため、当初の予定よりも、渡航費等の費用を抑えることができた。その分、アンケート調査結果を海外の学術雑誌に投稿するにあたっての校正費や、情報提供資料の制作費に充てる計画である。
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Research Products
(3 results)