2022 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルギルス感染を指標とした無菌治療室・無菌病棟の排気設備清掃基準の確立
Project/Area Number |
19K19387
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
城 有美 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (20506464)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アスペルギルス感染 / 清潔区域 / 空調 / 清掃 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液腫瘍患者の療養のために整備された清潔区域の環境整備方法やアスベルギルス感染患者の増加を来さない清掃頻度を調査している。 計画通り、清掃を行い過去3年間は一定の清掃頻度でアスペルギルス症の院内発生数を大きく増減することなく維持されたが、R4年度になり4月からアスペルギルス症の院内発生数が増加した印象があった。最終年度は過去4年間のまとめの期間としていたが、再度清掃状況のモニタリングを再開し、清掃方法の再検討を行った。 1)血液腫瘍患者では環境の汚染により侵襲性アスペルギルス症を3か月のうちに発症することが多いことが示唆された。アスペルギルスガラクトマンナン抗原は排気口の汚染具合で評価される入院療養環境の汚染に伴う血液腫瘍患者のアスペルギルス院内感染の指標として使用できる可能性がある。2)血液腫瘍患者の入院中の侵襲性アスペルギルス感染症の発症頻度を明らかにした。当院では入院中の血液腫瘍患者の1%程度でアスペルギルス院内感染が発生していた。一方、換気口の汚染が明らかな時期には3%程度のアスペルギルス院内感染症例が発生した。3)必要な空調清掃の頻度は日常清掃の程度により変動することが判明した。換気口が汚染することが直接院内感染増加に寄与するのか、換気口の汚染が目立つような日常清掃が院内感染増加の直接的な原因であるのかは明らかにできなかったが、本研究では換気口の埃中にはアスペルギルスが培養で検出できる程度に存在することを証明しており、換気口の埃が病原体の増殖場所となることは示すことができた。 清掃の状況は施設ごとに違うため、侵襲性アスペルギルス症院内感染の指標を用いて他施設との比較をおこない、清掃基準の最適化を図ることが望まれる。 この結果について、論文として公表予定である。
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