2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a method to automatically collect laboratory test values without bias and application to clinical epidemiological research
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19K19389
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
兵頭 勇己 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 助教 (50821964)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 臨床検査値 / 電子カルテ / 基準範囲 / 臨床判断値 / 欠損値 / フェノタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
病院情報システムに蓄積されたデータの利活用において、データ欠損は適切に対応しなければならない課題である。我々は、データが欠損している状況それ自身も、何らかの情報を有するという先行研究に基づき、蓄積されたデータのさらなる利活用の手法の確立を目指している。その基盤の技術として、本年度は病院情報システムの主たるデータ入力元である臨床医が、様々な背景を持つ患者個々の臨床検査値をどのように判断したか、すなわち臨床医の思考の結果を「臨床医が問題ない」と判断される検査値の範囲として表現する手法を構築した。
手法の具体的内容としては、データの前処理として外れ値を自動的に判断し除去する処理を行った。さらに、検査間隔の対数変換値およびその逆数を重みとしたブートストラップサンプリングを行うことで、2 つのサンプリングデータを得た。その2つサンプリングデータの分布密度の差から得られる新たな分布密度に対し、適切な分布のパラメータを推定した。外来患者データに対して上記手法を適用することで、多くの検査項目に対し、推定される頻度分布の2.5%点および97.5%点は臨床検査値の基準範囲の下限および上限に近い値となることが示され、入院患者と比較してより「準健常人」の割合が多いことが示唆された。さらに、推定した一部の検査項目に関しては、臨床医の処方行動との関連を認めるなど妥当な結果を得ることができた。
以上より、本手法により各検査項目ごとの臨床上問題ないと判断されうる検査結果の頻度分布の情報を推定する可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の予定は、外来診療時に血液検査を実施した患者データを用いて、主に頻度分布推定手法の構築を行うことであった。結果、推定手法の改善の余地はあるが、基準範囲との一致性を確認することで推定手法の有効性を評価することができたため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
医師が電子カルテ上に記載した経過記録の情報を元に、本当に医師が「問題ない」と判断しうる検査値の集合をゴールドスタンダードと定義し、本手法のさらなる妥当性・有効性の評価を実施する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、解析用PCの購入費用および学会参加のための旅費が予定よりも少なかったため。
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