2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a method to automatically collect laboratory test values without bias and application to clinical epidemiological research
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19K19389
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
兵頭 勇己 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 助教 (50821964)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 臨床検査値 / 電子カルテ / 基準範囲 / 臨床判断値 / 欠損値 / フェノタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、病院情報システムに登録されているデータが欠損している状況それ自身も、何らかの情報を有するという先行研究に基づき、蓄積されたデータのさらなる利活用の手法の確立を目指している。その基盤の技術として、病院情報システムの主たるデータ入力元である臨床医が、様々な背景を持つ患者個々の臨床検査値をどのように判断したか、すなわち臨床医の思考の結果を「臨床医が問題ない」と判断する検査値の範囲として表現する手法を構築した。 令和2年度は、前年度に提案した方法の修正を行い、論文として報告した。修正点は、主に提案手法の妥当性を示す部分であった。具体的には、より提案した手法が「臨床医が問題ない」と判断する検査値の範囲と同等であることを示すために、電子カルテに記録された診療録の情報を利用した。まず、臨床医が検査をオーダし結果を確認した際に、診療録へ「問題無い」などの記載があった検査オーダおよびその結果値を特定した。次に、診療録から特定した結果値の分布をゴールドスタンダードと定義し、提案した手法で推定した検査値の分布の比較を、Kullback-Leibler情報量にて比較した。全35項目の検査項目中、提案手法では免疫系の検査項目を除いた項目においてゴールドスタンダードの検査値分布に近い分布を得ることができた。 さらに、実際に提案した手法で得た検査値の範囲が、医療情報学研究に応用できる可能性を示すため、提案した検査値の範囲と、従来の基準範囲の2つの情報を用いて、どちらがその後の臨床医の処方行動(一例として貧血に対する経口鉄剤処方)を予測できるか、ロジスティック回帰モデルを使用し予測モデルを構築して比較を行った。その結果、提案した方法で推定した検査値の範囲を使用した方が、より鉄剤処方を有意に予測できた。 以上より、本手法の妥当性をより強固に示すことができ、本内容を研究論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和2年度の予定は、提案した手法の妥当性を検証することであった。結果、いくつかの方法で妥当性を検証することができた。さらに、その結果について論文投稿を実施することができた。計画上、論文投稿は最終年度に実施する予定であり、このことから計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に擬似的に検査結果値を欠測させた状況で、本提案手法による分布を使用した代入方法が有効か検討していく。さらに、臨床医の検査実施パターン自身を、深層学習を使用して推定することを試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、学会参加のための旅費の使用が予定よりも少なかったため。
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