2020 Fiscal Year Research-status Report
健康サポート薬局普及推進に向けた業務最適化支援モデルの構築と有用性評価
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19K19391
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
古島 大資 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90615238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離散シミュレーション / 業務最適化 / 薬剤師業務 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の目標は、2019年度の実態データに基づき健康サポート薬局普及推進支援モデルを構築することであった。しかしながら、新型コロナ感染症の影響により当初予定した実態調査の時期が2020年11月に変更となったため、本年度は、薬剤師業務について実態調査(タイムスタディ)を実施し、併せて収集したデータに基づきシミュレーションモデルを構築することを目標とした。令和2年11月24日~30日の5日間において、静岡県内の保険薬局を対象に薬剤師の実態調査を実施した。調査期間中に来局した全患者753名について調剤時間、監査時間、服薬指導時間、服薬記録時間、調剤方法(一包化調剤等)、疑義照会の有無、お薬手帳の有無、処方薬剤数、患者性別・年齢についてデータを収集した。調査の結果、調剤時間の平均(標準偏差)は7.60(13.3)分、監査時間は3.43(2.4)分、服薬指導時間は4.49(3.3)分であり、一包化調剤を行った患者で所要時間が多くなることが明らかとなった。また、時間帯別では、平均して10時~12時の間に集中していることが明らかとなり、当該時間に来局した患者では患者待ち時間も延長することが明らかとなった。調査により収集したデータは、多変量解析により薬剤師業務に負荷の多い業務内容を推定し、患者特性別の所要時間とその確率分布を推定した。これらの結果に基づき、患者年齢、薬剤数、処方日数、疑義照会の有無、一包化調剤の有無、服薬指導の内容を組み込んだシミュレーションモデルを離散系シミュレーションソフトウェアSIMUL8を使用し構築した。構築したモデルにおけるすべてのパラメータは、実態調査からの推定値とし、モデルの予測値と観測値とを比較した結果、患者待ち時間、調剤時間、監査時間、服薬指導時間の誤差が5分以内に収束したモデルを今後のシナリオ分析に使用するベースラインモデルとして構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で調査施設数および調査期間を短縮せざるを得なかったが、シミュレーション分析で必要とするデータの数は収集できたと考えられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
静岡県内の薬局のうち健康サポート薬局の指定を検討している薬局を対象に実態調査を行い,収集したデータを支援システムにより解析し,健康サポート薬局指定に向けた業務の課題抽出と最適化策の提案を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
予定していた調査が新型コロナ感染症の影響で延期されたため、予定としていた研究に遅れが生じ、次年度に繰り越しが生じた。
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