2021 Fiscal Year Annual Research Report
健康サポート薬局普及推進に向けた業務最適化支援モデルの構築と有用性評価
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19K19391
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
古島 大資 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90615238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離散シミュレーション / 保険薬局 / タイムスタディ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の目標は、静岡県内の薬局のうち健康サポート薬局の指定を検討している薬局を対象に実態調査を行い、収集したデータを支援システムにより解析し、健康サポート薬局指定に向けた業務の課題抽出と最適化策の提案を行うことであった。新型コロナ感染症の影響により研究に協力いただける薬局が当初の予定より大幅に少なく島田市の健康サポート薬局に対象を限定し実態調査を実施した。収集したデータに基づき、患者年齢、薬剤数、処方日数、疑義照会の有無、一包化調剤の有無、服薬指導の内容を組み込んだシミュレーションモデルを離散系シミュレーションソフトウェアSIMUL8を使用し構築した。構築したモデルにおけるすべてのパラメータは、実態調査からの推定値とし、モデルの予測値と観測値とを比較しモデルの妥当性評価を行った。その結果患者待ち時間、調剤時間、監査時間、服薬指導時間の誤差が5分以内に収束するモデルを構築した。本モデルを用いて、1.薬剤師数の増減,自動調剤(一包化等)システムの導入を想定したシナリオ 2.業務分担制の導入や業務フローを変更したシナリオ 3.在宅医療対応や健康支援事業実施を想定したシナリオ を複数設定し複合的に分析した結果、薬剤師の配置転換、一包化調剤の自動化を導入することで業務を最適化でき、さらに薬剤師数を増員することなく、将来の患者高齢化に伴った多剤処方や一包化調剤の増加に対応できる可能性が示唆された。また、ハイリスク薬処方と患者待ち時間、服薬指導時間との影響を分析した結果では、処方薬剤数が最も影響し、ハイリスク薬などの薬剤の種類の影響は小さいことが推定された。業務の最適化によって、服薬指導時間が確保できハイリスク薬処方患者への十分な服薬指導時間の確保につながることが予測された。本研究結果については、J.Health Engineeringにて公表予定である。
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