2019 Fiscal Year Research-status Report
Profiling of steroid hormone for women's health and wellbeing: metabolomics cohort study
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19K19416
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
飯田 美穂 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70594505)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 女性医学 / メタボローム解析 / ステロイドホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化が深刻化している我が国の女性にとって、健康長寿と高齢期のwell-beingの実現は喫緊の課題である。加齢に伴うステロイドホルモンの変化が様々な疾患やQOLの障害と深く関連していることは報告されているが、ステロイドホルモン合成経路全体のプロファイルを俯瞰的に分析した研究は少ない。本研究では、大規模コホート集団において閉経後女性における尿中ステロイドホルモンのプロファイリングを実施するとともに、血中・尿中代謝プロファイル、疾患情報、健康調査結果等と、測定した尿中ステロイドホルモンのプロファイルを総合的に解析することで、高齢女性の健康状態やQOLに関連する代謝プロファイルおよびステロイドホルモンプロファイルを明らかにし、女性の健康寿命・QOL向上に繋げることを目的とする。 2019年度は、以下の3点を実施した。(1)LC/MS/MS法を用いたステロイドホルモン代謝物の測定系を構築する上で必要な基礎的研究を実施した。既報よりも対象ステロイドを増やすとともに、既報と異なる誘導体化法を用いて、カラムや移動相条件の最適化を通じて、より高分離な一斉分析系の構築を目指すべく、検討を重ねた。その上で、本研究の対象者検体で測定対象とするステロイドホルモンを絞り込んだ。(2)研究対象候補者を選定する上で、コホート研究参加者のうち40~60代の女性参加者のベースラインデータを用いて、閉経状況と血中エストラジオール値に関する予備的解析を行った。(3)コホート調査参加者の6年後追跡調査を実施し、研究対象者の健康状態の経時的変化を中心に、解析対象に適した対象者選定に必要な情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度中にLC/MS/MS法を用いた尿中ステロイドホルモン代謝物の測定系の確立を完了する計画であったが、質量分析装置に故障が発生し、実験を中断せざるを得ない期間が発生した。速やかに修理を依頼し、同年度中に測定系の確立に必要な基礎的知見を得ることができた。2020年度では、実検体を用いてステロイドホルモン代謝物を測定し、外部委託にて測定済の血清ホルモン値と比較することで、測定系の検証を速やかに開始したい。なお、コホート研究の基礎調査で収集した各種環境要因や、脂質代謝や糖代謝に関わる既知のマーカーはデータベース化が完了しており、検体選定も済んでいる。測定系の検証ができ次第、ステロイドホルモンプロファイリングを開始し、データ解析を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
侵襲性の観点から尿を用いたステロイドホルモンプロファイリングを計画しているが、尿はその濃縮や希釈によって代謝物の測定濃度にばらつきが生じ、第一早朝尿に限定した場合でも生体内の健康状態を必ずしも反映しない可能性が否定できない。また、尿にはカラム劣化の進行を早める塩類の他に様々な夾雑物が含まれており、質量分析装置での検出感度にも影響を及ぼすことが予想される。今後測定系の検証が完了したのち、実検体でのプロファイリングを進めるにあたり、血液検体でのプロファイリングも視野に入れて実験計画を立てる。研究対象者の血液検体は既に収集済であり、保管中の血液試料を用いて測定が開始できる状況にある。 アウトカムとなる健康指標については、第一に加齢について検討する。研究対象者を年齢の中央値で2群に分け、年齢によるステロイドホルモンプロファイルの違いについて、PLS判別分析を用いて探索する。次に、BMIや内臓脂肪量、身体活動量、メタボリック症候群をはじめとする生活習慣病罹患についても検討を行う。さらに、追跡調査データを用いて、ステロイドホルモンプロファイルと数年後のBMI変化ならびに生活習慣病の発症に関する縦断的検討も実施する。 生体内のメタボロームとの関連については、特にBMIやメタボリック症候群と深く関連していると報告されている血中分枝鎖アミノ酸を中心に、それらとステロイドホルモン代謝物との関連について横断的に検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究では研究対象者の尿検体を用いた代謝物測定を実施するまでに至らず、消耗品購入が次年度以降へ持ち越しとなった。また、国際学会での研究成果発表を実施することができなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Association Between Dyslipidemia and Plasma Levels of Branched-Chain Amino Acids in the Japanese Population Without Diabetes Mellitus.2019
Author(s)
Keiko Fukushima, Sei Harada, Ayano Takeuchi, Ayako Kurihara, Miho Iida, Kota Fukai, Kazuyo Kuwabara, Suzuka Kato, Minako Matsumoto, Aya Hirata, Miki Akiyama, Masaru Tomita, Akiyoshi Hirayama, Asako Sato, Chizuru Suzuki, Masahiro Sugimoto, Tomoyoshi Soga, Daisuke Sugiyama, Tomonori Okamura, Toru Takebayashi
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Journal Title
J Clin Lipidol.
Volume: 13
Pages: 932-939.e2
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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