2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢マウスを用いた認知機能低下を反映するバイオマーカー研究
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19K19422
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
上野 浩司 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60725068)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経可塑性 / 細胞外マトリックス / マウス / 高齢化 / 抑制性介在ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化による認知症患者は現在増加傾向にある。しかし,高齢化による認知機能低下のメカニズムが不明であるため,病因に基づいた生物学的検査や予防方法の開発が出来ていない。高齢化に伴い中枢神経系におけるニューロンの喪失が認知機能低下の原因であると長年考えられてきたが,近年はニューロンの喪失はほぼ生じていないことが明らかにされている。認知機能の低下とその生物学的マーカーの探索を検討した。老化促進モデルマウス(Senescence-Accelerated Mouse;SAMマウス)を使用してその認知機能低下の状況と脳の海馬における抑制性介在ニューロンと細胞外マトリックスの変化の状況を調べた。 SAMP8マウスは「学習・記憶障害、免疫機能不全、概日リズムの異常」「SAMP9マウスは白内障、老化アミロイドーシス」が見られるとされているが,一連の行動実験を通してその行動異常は調べられていない。我々は先ずSAMP8マウスとSAMP10マウスの高齢化による行動異常を詳細に調べた。その結果,SAMP8,10は体重が低く,SAMP10マウスは体温が高いなどの異常がみられた。さらに,高架式十字迷路試験,明暗往来試験,Y迷路試験,オープンフィールド試験,受動的回避試験などを実施し行動異常を明確にした。SAMP8,10マウスは不安様行動,短期記憶などで異常行動を示した。さらに,SAMP8,10の脳の海馬では抑制性介在ニューロンの一種であるParvalbuminニューロンの数,さらには,細胞外マトリックスの特殊な構造物である神経細胞周囲網(Perineuronal Nets)の形成数に異常がみられた。これら海馬での異常が実際のマウスの行動異常に関係しているのかを明らかにするにはさらなる研究が必要である。
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Research Products
(2 results)