2020 Fiscal Year Research-status Report
感染などの明確な要因が誘発する癌の罹患率予測を実現する人口学モデルの構築と実装
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19K19429
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
山口 崇幸 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (90748964)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺がん / コンパートメントモデル / 最尤推定 / 新型コロナウイルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
副流煙を考慮した個体群動態モデルを基にした肺がんの数理モデルのハザードや結婚関数に用いる関数としてスプライン関数を使うために、パラメータの推定方法、平滑化パラメータを決めるためのクロスバリデーション、信頼区間を求めるための時系列モデルに対するブートストラップ法について検討した。これらの手法については、コンパートメントがシンプルであるモデルに対して、推定がうまくいくことを確認した。具体的には、SEIRモデルを基にした新型コロナウイルス感染症のモデルに対して接触のパラメータを1変数のスプラインで表し、日々の感染者数からパラメータを推定し、2020年4月からの緊急事態宣言の接触削減の定量的評価を行った。肺がんの数理モデルの推定で用いるデータについては、人口と死亡数は総務省統計局のウェブページから毎年の男女別年齢1歳階級のデータ、肺がんの罹患数や死亡数は国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」から毎年の男女別年齢1歳階級のデータ、肺がん死亡者数については人口動態統計時系列データDVDのデータ、毎年の男性と女性の結婚の年齢分布はe-Statのデータから更新をおこなった。また、コンパートメントモデルを用いた数理モデルの応用として、新型コロナウイルス感染症についての出生死滅過程によるモデルを検討した。主に2020年3月の北海道の感染者の接触のグラフ構造からモデルのパラメータを推定し、未診断の感染者数を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喫煙状態を考慮した肺がんのコンパートメントモデルに利用するための推定手法の検討を行った。具体的には、スプライン関数をパラメータに含む時系列モデルの推定のプログラムの実装に取り組んだ。スプライン関数が極端に変動することを抑えるためには平滑化パラメータが使用されるが、平滑化パラメータを決めるために一般化クロスバリデーションを検討したがうまくいかなかったため、時刻によってデータを分割する時系列モデルの場合のクロスバリデーションを採用した。信頼区間を求めるためにはブートストラップ法を用いたが、時系列モデルであるためにリサンプリングに工夫が必要で、定常ブートストラップを実装した。
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Strategy for Future Research Activity |
喫煙状態を考慮した肺がんのコンパートメントモデルに、喫煙者の夫と非喫煙者の妻の場合に妻の肺がんリスクが高くなるというような副流煙の効果を加えるためには、各年にどのような年齢分布の男女が結婚するかを表す結婚関数を推定する必要がある。また、各年の年齢毎の肺がんのハザードを表す関数も推定しないといけないが、これらの関数を表すために2変数のスプラインを用いる予定である。2020年度に実装した1変数のスプラインを用いた時系列モデルの推定方法を応用して、肺がんのハザードと結婚関数の推定を行い、副流煙を考慮した肺がんのモデルによる罹患数と死亡数の予測を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、参加を予定した学会や研究集会が中止やオンラインになり、旅費の支出が減った。 使用計画としては、新型コロナウイルスの状況によるが、学会や研究集会が開催されれば発表や情報収集のために参加する。
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Research Products
(5 results)