2020 Fiscal Year Research-status Report
疫学データに対する人工知能技術適用の枠組みの検証と提案
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19K19433
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大岡 忠生 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (40803987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疾患予測モデル / 機械学習 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に開発した2型糖尿病の発症リスクを予測する機械学習モデルに関する論文を国際誌にて出版した。(Ooka et al. BMJ Nutrition, Prevention & Health 2021) 2020年度にはDeep Learningを含む複数の新たなモデルを用いた2型糖尿病発症リスク予測を実施したが、2019年に開発したランダムフォレストやスパースモデリング(Lasso)を用いた機械学習より高い精度のモデル開発を実現する事は出来なかった。これらの結果を踏まえて、最も高い精度を実現していた機械学習モデル(XGBoost)を使用した2型糖尿病の発症予測モデルを他の健康診断項目をアウトカムとしたモデルにも活用することで、16種類の健康診断項目<体重、腹囲、BMI、血圧(収縮期,拡張期)、肝機能(AST,ALT,γ-GTP)、脂質(中性脂肪,LDL/HDLコレステロール)、血糖値(空腹時血糖,HbA1c)、腎機能(クレアチニン,eGFR)、尿酸値>を高精度に予測するモデルを作成することができた。具体的には、2年連続の健康診断結果から1年後、3年後の健康診断結果を予測する機械学習モデルを作成し、平均誤差10%以内の精度で16項目の予測を行う事に成功した。これらの研究結果については現在論文投稿準備中である。 また今後の研究計画としては、今回開発した16項目の健診項目を予測するモデルを実際に健康診断施設の受診者に適用し、予測結果を基に保健指導を実施する事で、実際に受診者の健康増進に繋がるのかどうかを検討するランダム化比較試験の実施を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な機械学習モデルを疫学データに活用する事で、疫学データへの人工知能(機械学習)技術適応の枠組みの検証を行うことが出来た。更に、開発したこれらの枠組みを実際の現場に導入し、その効果を確認する新たな研究の計画も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、大規模疫学データの一例として大規模健康診断データに機械学習モデルを適応する事で、様々な健康診断項目や疾患発症を予測出来るかの検討を行った。実際に、高精度にこれらの項目の推移や疾患発症を予測できるという結果に至ることが出来たが、高い精度で予測する事が人々の健康増進に結びつく事で、これらの発症予測モデルの意義が達成される。今後の研究においては、これらの予測モデルをどのように活用する事で、地域住民や職域の労働者の健康を促進することが出来るか、その社会的側面も含めて検討を行う事で、これからの地域における個別化された予防医療の推進に貢献していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる会議費・交通費の減少によって次年度使用額が生じた。 当初の計画よりも物品購入にかかる費用が多くなっており、差額分は翌年度の物品費に充てる予定である。
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