2020 Fiscal Year Research-status Report
カルバペネム耐性菌感染症の実態を明らかにするための多施設共同研究
Project/Area Number |
19K19450
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
齋藤 翔 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国際感染症センター 医師 (40809274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カルバペネム耐性 / 薬剤耐性 / IMP / カルバペネマーゼ / 臨床情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多施設共同、前向き、レジストリ研究として実施中である。前年に引き続き、当国立国際医療研究センター、藤田医科大学、成田赤十字病院、京都大学、横浜市立大学から情報収集を行い、373株の菌株と187例の詳細な臨床情報の収集を完了した。COVID-19により様々な制約がある中で、収集状況としてはおおむね当初の予定通り進んでいる。 また解析担当である東京大学の協力を得て、研究開始から2020年9月までの情報をまとめた。腸内細菌科細菌、ブドウ糖非発酵菌、Aeromonasなどその他の3グループに分け、研究計画通り実臨床における死亡率、入院日数、ICU 滞在日など臨床に与えるインパクトについて解析を行った。本データについては2021年9月に実施される、ID Week(米国感染症学会)において中間発表として公開予定である。また研究コーディネーターのサポートを得ながらコントロール症例の選定を進め、カルバペネム耐性群と比較するためのコントロール症例群の臨床情報の収集を開始している。今後は、カルバペネム耐性群と非耐性であるコントロール群の比較、菌種毎、感染部位毎に異なる臨床像の検証など、これまで収集してきたデータを用いて様々な切り口から解析を行い、日本国内におけるカルバペネム耐性菌が臨床に与えるインパクトを検証する予定である。 入力されたデータについては当センターのデータセンターで検証の上、必要に応じ疑義照会を行いデータの質を担保している。ここまでは順調に症例登録が進んでいるため、今年度もひき続き菌株と臨床情報の収集を進め、臨床に与える影響についてより詳細に解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当施設をふくめた協力施設が各地域における感染症診療のリファレンスセンターであるため、令和2年度においても、新型コロナウィルス感染症への対応を余儀なくされた状況であった。しかし、今年度は定期的にオンラインミーティングを行い各施設の状況を鑑みながら、菌株と臨床情報の収集を進めることで昨年度の遅れを取り戻すことができたと考えられる。 今年度においても菌株と臨床情報の収集は進めつつ、臨床に与えるインパクトの解析を追加で行う予定である。また各菌種毎や感染部位毎の臨床的なアウトカムを明らかにすることで、より詳細な理解が進むと考えらえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在も各施設における新型コロナウィルス感染症による診療への負担が大きい状況が遷延していると考えられるため、、本研究を遂行するために各施設の業務サポートが必要であると考えらえる。菌株の輸送に関しては、引き続き当センターの研究コーディネータによる菌株輸送手続きのサポートを行い、研究協力者の負担を軽減する。またコントロール症例の選定などについては、研究コーディネーターのサポートを得ながら迅速に進める。 今年度も研究全体として菌株収集を推進するために、各研究協力者と密に連絡を取り合い、進捗状況について細やかに確認を行うことで、定期的な毎月の菌株輸送を確実に実施できるような環境を整える。 本年は研究3/3年目であるため学会発表を行い、3年目の最終時点でまとめる情報の解析方法を決定する。また可能であれば新規施設を追加し、さらなる研究体制の広がりについて議論を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は予定していた出張、会議が中止となりオンラインで様々な対応を行ったため、予算の繰り越しが発生した。今年度は成果発表、施設追加などの予算として繰り越し費用を用いる予定である。
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