2020 Fiscal Year Research-status Report
Identifying interventional suicide preventable factors
Project/Area Number |
19K19462
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
香田 将英 宮崎大学, 医学部, 助教 (80827791)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自殺予防 / 精神医学 / 社会疫学 / 階層ベイズモデル / 地理情報システム / 健康の社会的決定要因 / 地域格差 / 空間統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、都道府県・二次医療圏・市町村という政策単位の大きさと自殺の地域差に関する可視化と比較を行った。小地域になればなるほど人口の大きさによる変動を大きく受けることから、昨年度作成した 2009年から2018年までの10年間の自殺者データから、階層ベイズモデルを用いて標準化死亡比(SMR)の縮約推定値を求めた。視覚的な検討のために、行政区域データと計算されたSMRを用いて地図を作成した。SMRを階級別に区分し、コロプレス・マップ(Choropleth Map)を作成した。その後、各政策単位におけるSMR分布の違いを調べるために、それぞれのSMRの第1四分位と第3四分位で区切った二変量のコロプレス・マップを作成した。 その結果、どの政策単位の大きさで解析しても、全性別および男女別にみても、隣り合う地域で自殺SMRの大きさが類似するという空間的自己相関があることが明らかとなった。各政策単位間の比較では、都道府県単位ではSMRが低くても、市区町村・二次医療圏単位でみるとSMRが高い地域があり、その逆も認めた。このことにより、都道府県単位だけで、自殺を評価していると見過ごされてしまう自殺の地域格差があることが明らかとなった。 本解析では、全国の市区町村、二次医療圏、都道府県の政策レベルで自殺の地域格差を可視化することで,空間的な連続性を示すとともに、都道府県だけでは見過ごされていた自殺の地域格差を明らかにした。二次医療圏や市町村レベルで自殺指標を設定し、隣接する地域であっても個別に自殺対策を行うことの重要性が示唆され、本研究課題の意義がさらに明確となった。この解析結果について英語論文を作成し、専門誌に投稿中である。次に、今回の解析方法を応用して年齢・性別毎に自殺指標を作成を行い、市区町村単位で介入可能な要因の探求を行うために、データを収集・整理を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き研究自体は概ね当初の計画通り進んでいるが、統計法に基づく調査票情報の利用(オンサイト利用)を検討していたが、COVID-19感染症流行に伴いオンサイト施設のある都道府県への移動が困難な状況が続いている。調査票情報の利用について先方と調整中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
自殺の地域格差を見落とさないという点では、二次医療や市町村レベルの分析は都道府県レベルの分析よりも望ましいことがわかった。しかし、調査する自治体の規模が小さければ小さいほど、得られるデータは限られてくる。市町村レベルでの地域相関研究を行う場合には、都道府県や二次医療圏の状況を同時に変数として扱うマルチレベル分析やベイズ階層モデルなどの分析手法を用いることが望ましいと考えられ、次年度に分析手法として取り入れることを検討している。 さらに、社会疫学的大規模調査を行っているJAGES(Japan Gerontological Evaluation Study、日本老年学的評価研究)から、全国の協力自治体のデータを収集し、現在収集しているデータと統合することを検討している。さらなる自殺のリスク・予防因子について調べることが可能となることが期待でき、現在調整中である。
|
Causes of Carryover |
当初購入を予定していた統計ソフトや地理情報システムソフトではなく、より安価で高機能な統計分析ツールおよび地理情報システム機能を利用するためのプログラミング言語を研究者が学習し利用可能となったため。また、新型コロナウイルス感染症流行に伴い、発表参加予定であった学術大会の多くが、開催中止・延期となったため。
|
Research Products
(2 results)