2021 Fiscal Year Research-status Report
Identifying interventional suicide preventable factors
Project/Area Number |
19K19462
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
香田 将英 宮崎大学, 医学部, 助教 (80827791)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 自殺予防 / 精神医学 / 社会疫学 / COVID-19 / 空間統計学 / 地理的剥奪指標 / 地域格差 / 階層ベイズモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
警察庁の自殺データを用いて、COVID-19流行が日本で起きた2020年1月から2021年5月と、流行以前の日本における自殺の理由の変化について分析を行った。推定には準ポアソン回帰モデルであるFarringtonアルゴリズムを用いた。片側95%信頼区間の上限値を超えた場合に超過死亡とし、上限値との差から超過死亡割合を求めた{(実測値-上限値) /上限値 (%)}。分析期間中の自殺者総数は29,938人であり、その内理由が判明したのは21,027人 (13,612人[64.7%]が男性) だった。7つの大項目 (家庭問題、健康問題、経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題、その他) の全てで、超過死亡のある月を認めた。最も高い超過死亡割合を認めた月は2020年10月の25.8% (男性6.1%、女性60.8%) であった。小項目の分析から、男性では主に仕事のストレスや孤独感、女性では家庭・健康・勤務問題を動機とした自殺が増加し、自殺の理由が男女で大きく異なった。COVID-19流行下における性別ごとに適切な自殺予防策および政策を見つけるための新たなデータを提示した。本分析内容は英語論文にまとめ、JAMA Network Openに掲載された。 さらに、今年度は、小地域の貧困・剥奪水準を示す地理的指標として地理的剥奪指標 (areal deprivation index: ADI) を用いて市区町村単位での自殺との関連について分析を行った。自殺死亡標準化死亡比とADIに関連を認めた。居住地域の社会経済状況が、そこに居住する個人の自殺リスクに影響する可能性が示された。小地域の貧困・剥奪水準を示す地理的指標であるADIは、自殺対策指標の1つとなりうることが明らかとなった。 また、昨年度報告した政策単位ごとの自殺の地域差に関する英語論文は専門誌に投稿が完了し、査読対応を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
統計法に基づく調査票情報の利用(オンサイト利用)を検討していたが、COVID-19感染症流行に伴いオンサイト施設のある都道府県への移動が困難な状況が続いており、今年度はCOVID-19感染症流行と自殺の状況について分析を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
社会疫学的大規模調査を行っているJAGES(Japan Gerontological Evaluation Study、日本老年学的評価研究)から、全国の協力自治体のデータを収集し、現在収集しているデータと統合を行い、現在分析中である。次年度は現在取得しているデータを整備し、マルチレベル分析やベイズ階層モデルなどの分析手法を用いながら、分析を進める予定である。た、COVID-19流行が続いていることを鑑みて、市町村単位で指標を設定後に、COVID-19流行下で、どのような市町村で自殺者数が変化しているか分析を行うことを検討している。
|
Causes of Carryover |
研究結果を発表するための学術大会参加のための費用や、現在投稿中の英語論文の掲載費等に使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)