2021 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中発症リスク要因としての長期避難生活が及ぼす影響に関する疫学研究
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19K19463
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中野 裕紀 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10736721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発症登録 / 循環器疾患 / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症による影響から、医療機関での採録作業について、短縮、医師による判定、データクリーニングの効率化、データ精度の向上を目的として採録の電子化に取り組んだ。避難区域住民における脳卒中発症の推移、地域差、震災や避難の影響を検討するため、令和3年度は平成30年(2018年)の福島県の中通り、浜通り、会津9医療機関での採録を行った結果、1,821例の脳卒中発症が登録された。2020年度の登録数2,458件に対し、新型コロナ感染症の影響により減少したが、2022年上半期には全ての採録対象医療機関での採録を完了できる見込みである。2013年、2018年の方部別登録件数の平成25年と30年の比較では、全体では4403件と4279件、中通りでは2901件と2854件、浜通りでは533件と507件、会津では969件と918件であった。同様に初発・再発の比較では、初発では3178件と3201件、再発では1177件と1058件であった。診断の比較では、脳梗塞は3120件と3149件、脳内出血では988件と875件、くも膜下出血では290件と251件であった。脳梗塞の病型比較では、脳血栓症は1204件と1172件、脳塞栓症では851件と922件、ラクナ梗塞では930件と651件であった。なお平成30年採録結果について医師による登録判定が未実施であることから、暫定的な結果である。引き続き、浜通り、会津地域でも採録を継続することで、原発事故や避難の影響、避難の影響と脳卒中発症との関連を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年1月1日から平成30年12月31日を対象期間とした発症登録の遡り調査については、当初令和2年4月から開始する予定であったが、昨年度に引き続き、新型コロナウイルスによる感染症の影響で、採録対象の医療機関においての、打合せ等の調整の延期や、採録開始時期の延期の要望があり、各医療機関と個別で調整、検討を重ねてきた。
一部医療機関においては採録を開始できたが、これまで遅れを取り戻すには至っておらず、研究期間を1年延長するにいたった。採録の電子化など、効率化とデータ精度の向上についての成果は出ており、鋭意採録を進めている。医療機関においてクラスターが発生するなどで、予断はゆるさない状況ではあるが、引き続き協力医療機関との調整をすすめ、発症データの収集が迅速に進むようにつとめ、令和4年度上半期までに平成30年採録を確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ(感染症病床)の確保のため、採録に用いる電子カルテ端末の利用を制限する医療機関があり、1医療機関を1人で採録する等、採録に要する時間が長くなる傾向にある。対応として、医療機関から退院時サマリの電子データを提供を受け、医大内で仮採録を行うことで、現地での採録時間の短縮を図った。引き続き浜通りでの採録を継続中である。現状を踏まえ、さらにスケジュールの調整を行った。平成30年遡り調査については、令和4年上半期に採録、判定及びデータクリーニングを完了させる計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、採録作業の遅れが生じていることに加え、学会参加などに関わる経費の執行が当該年度中に実施できなかったことから、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)