2019 Fiscal Year Research-status Report
妊娠期の食習慣が産後うつ病の発症に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
19K19465
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
小林 道 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (90756686)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 産後うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠期は生活環境の変化や子育ての不安から、精神が不安定になりやすいことが知られている。女性において、妊娠期から産後1年未満における死因の第1位は自殺であり、産後うつ病の対策は重要と考えられる。しかし、その予防方法に関するエビデンスは不十分である。一方で近年、食習慣とうつ病との関連が注目されている。本研究では、妊娠中に母子手帳の受け取りに訪れた妊婦を対象とし、食品・栄養摂取量及び生活習慣に関する調査研究を実施して、妊娠期の食品・栄養素摂取量が産後の精神状態へ及ぼす影響を縦断的に明らかにすることを目的とする。更にその結果から、産後うつ病の予防のために妊娠期の食事や栄養素摂取の在り方を検討する。本研究で得られる知見は、母子保健に資する政策立案に寄与し得る内容を包含するものであり、研究目的の達成により栄養学領域のみならず医学領域にも貢献することができる。 江別市保健センターの協力のもと、2019年8月から江別市に居住する妊婦を対象に調査を開始した。保健師等の市担当者及び研究対象者の協力も多くあり、調査は順調に進捗している。データ収集にかける期間は、約2年半を予定しており、現在はその途中であるため、解析については、サンプル数が十分に集まり次第、逐次実施する。また、調査の回答から出産までに最大8~9か月程度の期間を要するため、今後はデータ収集と解析は並行して実施し、2021年以降に関連学会等で報告する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年8月から妊婦を対象に調査を開始し、2020年3月31日までに179名の回答を得られた(推定回答率:45%)。当初の予定は、2年半で600名の回答を目標としていたことから、現在のペースが保たれれば、2年半で650名超からの回答を得られることになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
江別市では2019年8月から、母子保健に関する総合相談窓口「子育て世代サポートえべつ」が立ち上げられ、産婦健診の助成が始まった。産婦健診では、産後2週間後あるいは1か月後の産後うつ病のスクリーニング(EPDS)が実施される。研究計画当初は、産後の赤ちゃん訪問時でのEPDS取得を予定していたが、赤ちゃん訪問は、第2子以降が任意であること、EPDSの取得時期が一定にならないことを考えると、産婦健診時でのEPDS取得によるサンプル数の増加及び産後の統一した時期のEPDS取得のメリットは非常に大きいと判断したため、当初の計画を変更し、産婦健診時のEPDSを保健センターを通じて取得することとした。これら内外状況の変化により、より統計学的検出力を高めるために、妊娠時調査のサンプル数確保に重点を置くことにシフトし、市担当者と協議して、赤ちゃん訪問時の追加調査は実施しないこととした。
|
Causes of Carryover |
調査の特性から、回答数をコントロールすることは不可能であり、切手等の細かい支出が多いことからも、予算を予定通りに使い切ることは困難である。次年度に繰り越す使用額及び翌年度助成金についても調査の進捗に合わせて適切に使用する。
|