2022 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期の食習慣が産後うつ病の発症に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
19K19465
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
小林 道 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (90756686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 産後うつ病 / 食事パターン / 食習慣 / 妊娠期 / 産婦健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年7月に調査票配付を終了し、最終的な回答者数は933名(回答率:43.3%)であった。2021年度までに得られたデータを解析し、主成分分析によって参加者の食事パターンを抽出して社会人口統計学的要因と妊娠期の抑うつ症状について解析を実施した。これらの研究成果は、2022年8月と12月にそれぞれ実施された第8回アジア栄養士会議及び第22回国際栄養学会議で発表した。 最終的に集積されたデータから、本研究の目的である食習慣と産後うつ病発症の解明のためにデータ整理を行った。除外基準は、複数回調査に参加した人の回答のうちの2回目以降の回答、体重未記入、総エネルギー摂取量600kcalの過小評価及び4,000kcal以上の過大評価、うつ病の既往歴、うつ病以外の精神疾患既往歴とし、対象者は806名であった。そのうち、産後うつ病の評価指標であるエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)の回答が得られた対象者は年546名であった(2023年3月時点)。 546名のデータから主成分分析によって食事パターンを抽出した。食事パターンは、第一因子は肉類、魚介類、大豆製品、野菜等で特徴づけられた健康パターン、第二因子は魚介類・大豆製品で特徴づけられた魚・豆パターン、第三因子は果物類で特徴づけられた果物パターンが抽出された。各食事パターン得点とEPDS得点の関連をBMI、妊娠週数、出産経験、教育歴、就労状況、妊娠前の運動習慣、妊娠中のうつ症状で調整した共分散分析を用いて検討した結果、健康パターン得点の第一分位群と比較して第二分位群でEPDS得点の低下が認められた。他のパターンとEPDS得点の間に関連は認められなかった。 以上の結果から、妊娠中の健康的な食習慣は産後うつの症状にわずかながら影響を与えることが示唆された。なおEPDSの回答は2023年5月中旬に全ての回答が得られるため、解析を続ける必要がある。
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