2021 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境と急性大動脈解離発症との関連性:全国循環器専門施設データを用いた疫学研究
Project/Area Number |
19K19470
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
加藤 活人 日本医科大学, 医学部, 講師 (40409157)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 急性大動脈解離 / 自然環境 / 気温 / 循環器疾患診療実態調査 / 疫学研究 / 時間生物学的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究開始当初の背景 急性大動脈解離(AAD)は重要な循環器救急疾患のひとつである。近年治療法などの進歩も見られるが、いまだ突然死も多く見られ、予防を初めとする対策が喫緊の課題である。一方、いままでに循環器疾患と気温などの自然環境の関連ついてさまざまな研究がおこなわれている。特に急性冠症候群・急性心筋梗塞と自然環境の関連についての研究結果が報告されている。しかし、AADについては発症数が比較的少ないなどの理由により、自然環境との関連を検討した報告は限られる。 2.研究の目的 本研究の目的は日本循環器学会の循環器診療実態調査データベースと気象庁の気象データ、国立環境研究所の環境数値データベースを用いAADの入院に気温をはじめとする自然環境が与える影響について検討することである。 3.研究の方法 JROAD-DPCデータベースのうち平成24年~27年にAADで入院した患者の住所地域の郵便番号、入院医療機関の郵便番号、入院年月日、性、入院時年齢、併存疾患、喫煙指数、身長、体重、手術の有無を抽出する。AADの発症日時(季節、曜日)について、また、気象データや大気中汚染物質濃度データとAAD入院との関連性を検討する。 4.研究成果 AADの院内死亡における週末入院の影響について学会発表、論文執筆を行った。対象33,706例の院内死亡率は21.9%であった。AADでの入院は週末と比較し平日で多かった。日曜・祝日に入院した患者は、平日と比較し院内死亡の有意な上昇を示した(オッズ比1.26、95%信頼区間[CI]1.16~1.37、p<0.001)。Stanford分類の層別解析ではStanford A型のみが日曜・祝日に入院した患者で院内死亡の有意な上昇を示した(Stanford A型:OR 1.31; 95% CI 1.16-1.47, p<0.001)。よって、日曜・祝日入院のAAD Stanford A型で院内死亡リスクが高い可能性が示唆された。 気象データや大気中汚染物質濃度データとAAD入院との関連については研究継続中である。
|
Research Products
(2 results)