2019 Fiscal Year Research-status Report
デジタルPCRによるmtDNAのハプログループ分類と混合度の定量評価
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19K19478
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 司 東北大学, 医学系研究科, 技術一般職員 (90712266)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 混合試料 / ミトコンドリアDNA / ハプログループ / デジタルPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、型判定が極めて困難となる複数人のDNAが混在した、所謂混合試料を対象とした新たな検査法を確立することを目的とし、ミトコンドリアDNA (mtDNA)のハプログループを指標としたデジタルPCR (dPCR)による検査システムの構築を試みた。 まず、日本人集団におけるmtDNAハプログループ頻度に基づき、18個の一塩基多型 (Single Nucleotide Polymorphism ; SNP)部位を標的と定め、それぞれの標的に対し、dPCR用のプライマー及びプローブを設計した (ハプログループM, M7, M8, M9, M10, G, D, D4*, D4a, D4b, D4e, D5, N, N9, A, Y, F, B)。プローブについては、野生型及び変異型に対してそれぞれHEX及びFAMで標識したものを用意した。 その後、野生型及び変異型のコントロールとして、18個の標的部位を含む二本鎖DNAをそれぞれ合成し、それらがdPCRにより正しく判別できるか検討を行った。検討にはQX200 Droplet Digital PCR システム (Bio-Rad)を使用した。 検討の結果、9個の標的部位では正しく判別することができた (G, D, D4*, D4a, D4b, D4e, D5, A, F)。一方、残る9個の標的部位については、増幅が生じなかったり、非特異的な増幅が生じてしまったりしたことから、プライマー及びプローブの配列を見直し、改めて検討を行う必要があった。 日本人集団におけるmtDNAのハプログループ分類を行うには、上述した全ての標的部位に対して型判定を正確に行う必要がある。今後、それぞれの標的部位に対する反応条件を精査し、型判定に最良な反応系を構築した後、dPCRの定量性を活用して混合試料に対する検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で使用しているdPCR装置の販売元の受注システムがダウンしたため、一時、専用の試薬及び消耗品が入手できなくなった。さらに、同dPCR装置の部品が劣化したため修理が必要になったが、新型コロナウィルスの影響で修理の予定が延期になってしまったことも重なり、当初の予定よりも遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
dPCR装置が修理されるまでの間、正しく型判定が行えなかった9個の標的部位について、プライマー及びプローブを再設計し、リアルタイムPCRを代用することにより継続して反応条件の検討を行う。また、dPCR装置が修理された際には、改めてdPCRにより型判定が正しく判定できるか検証する。 全ての標的部位においてdPCRによる反応系が構築された後、実験的に作製した混合試料を試料としてmtDNAの混合比が算出できるか検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度分の助成金の大部分は物品費として研究に必要な試薬・消耗品等の購入に充てたが、残余が生じた。この残余金は翌年度の助成金と合わせて試薬・消耗品等の購入に充てる予定である。
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