2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of geographical area prediction model based on human hair and tap water stable isotope
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19K19484
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小山 哲秀 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90622209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 安定同位体 / 身元特定法 / 高齢社会 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国における行方不明者の届出受理件数は、毎年約8万人を超えている。その多くは、無事に発見されるが、不幸にも遺体として発見される事案が少なからず存在するのが実情である。このうち、身元を明らかにする所持品を残さず亡くなる方の身元を明らかにするのは困難を極める。加えて、近年では高齢化が進み、認知症を背景にした高齢者の行方不明者が増加することが想定される。これに伴い、身元不明遺体の事案が増加することが予想され、解決すべき社会問題である。本研究では、体の中にある安定同位体に着目して、身元不明者の在住地の推定を可能にするツールの開発を目的として研究を行う。本方法が確立されれば、従来利用されている身元特定法(人体の特徴、似顔絵、歯科所見、DNAなど)の方法と組み合わせることによって、これまで以上に身元確認作業が進むと期待される。 本年度は、新潟県における水道水安定同位体マップの作成を実施した。人体の約60%は水分であり、その水は主に水道水から得られるものであると想定される。既報によると、水道水同位体比と人体の同位体比には相関性が認められることが報告されている。そこで、新潟県における水道水の同位体比(酸素同位体比、水素同位体比)を検討したところ、一定の法則を持って測定値に地域差が認められることが明らかとなった。すなわち、一定の水準で同位体比測定による出身地推定を可能にすることを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに、高い地理的分解能を持った水道水安定同位体マップの作成ができた。さらに本結果を詳細に検討すると、当初想定されていなかった、ある規則性を持った測定値の変動が認められ、環境同位体学問の視点からも興味深い結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
新潟県下約30箇所から毛髪と水道水を採取し、それらの測定値に高い相関性が得られるかどうかを検討する。さらに、水道水の時期的変動が認められるかどうかも検討に加える予定である。
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