2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of geographical area prediction model based on human hair and tap water stable isotope
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19K19484
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小山 哲秀 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90622209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 安定同位体 / 身元特定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医学において、身元不明遺体に対する身元確認方法は、所持品や歯型などの身体的特徴によるものがほとんどである。したがって、所持品がない場合や、行方不明の届け出がない場合は、身元特定に時間が掛かる。そこで本検討では、安定同位体に着目した身元不明者の出身地を推定する手段を開発する。身元を推定する物品を持ち合わせない身元不明者が、どの地域の出身であるかを推定する手段を構築出来れば、身元不明者の増加に歯止めをかけることが期待される。 本年度は、新潟県に漂着した遺体の身元推定に同位体が利用できるかどうかを検討した。日本海側では、外国籍と思われる漂流船の問題が度々クロースアップされる。とりわけ漂着遺体の身元確認は非常に重要である。一方で、漂着遺体は腐敗が進んでいる場合が多く、身体的特徴による身元推定は難しいことが多い。加えて、外国籍の場合には対象とする歯科所検討の記録が本邦に存在しないため、“身元が日本人であるか、外国人であるか”という大別をすることは、その後の身元調査にも重要な知見を与えると推定される。本年度は、不明遺体から骨中の酸素同位体比を比較することで本邦出身であるのか否かを分けることができるかどうか検討を行なった。検討は、外国籍と思われる不明遺体4名と本国出身である水死体7例であり、ご遺体から骨を採取して酸素同位体比の検討を行なった。その結果、外国籍と思われるご遺体と本邦出身を明確に分けることが出来ることが分かった。本結果から、同位体を用いた身元推定は、少なくとも外国籍と本邦出身者を判断することが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、2020年度に毛髪と水道水の相関性を取る予定であったが、コロナ禍の影響によって、関係協力施設への訪問と毛髪採取ができなかった。加えて法医解剖等に関連する業務にウイルス検出のPCR等を実施の必要性が生じたため、研究計画通りの遂行から遅れが生じている。一方で、2020年度は2021年度に行う予定であった内容を前倒しして実施することにより、興味深い結果が得られた。2021年度はサンプルの収集を工夫することによって、コロナ禍の影響を最小限に留めて研究を遂行できるよう研鑽を積む。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度実施予定であった毛髪と水道水の相関性を検討する。当初の方針としては、新潟県全域の協力施設に訪問し採取する方法であったが、コロナ禍の状況を踏まえて、法医解剖時に当教室に訪問いただいた方の中から、同意が得られた方からの毛髪採取を行うことにした。同時に採取をする予定であった水道水は、解剖終了後に協力機関にお帰りになった後に採取いただき、後日郵送する方法に変更することで、当初の研究計画を遂行できるように実施する予定ある。
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