2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of geographical area prediction model based on human hair and tap water stable isotope
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19K19484
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小山 哲秀 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90622209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 安定同位体 / 毛髪 / 身元特定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、毛髪における安定同位体比の検討を実施した。当初の予定では、居住している方とその飲水を比較することで検討を加える予定であった。しかしながら、昨年から続いている新型コロナウイルス感染の影響が大きく、協力機関における訪問と対面によるサンプル採取は難しく、断念せざるを得なかった。そこで、ご遺体から採取させて頂いた毛髪を用いた検証を進めることにした。 サンプルは6例を対象とした。直前の居住地の内訳は、県内の方が4例、県外の方が2例であり、男性が1名、女性が5名であった。毛髪は1ヶ月に約1cm伸びることから、毛髪を毛根部から2cm毎に毛先まで均等に切断し、2ヶ月毎の同位体比の検証も合わせて行なった。そのため、毛髪の長さが必要となり、女性のサンプルが多くなった。測定には、熱分解型元素分析計・安定同位体比質量分析計(TCEA-IRMS, Thermo Fisher Scientific, Finnigan TC/EA 及びFinnigan MAT253, DeltaV Plus)を用いた。まず採取日から直近2ヶ月程度の値を示す毛根から2cmの同位体比を検討すると、それぞれのサンプルで違いが認められた。しかしながら、水道水との同位体比との相関性は認められなかった。既報では、測定値を補正することにより相関性が見出せており、数が少ないため対象数を増やしていの検討が必要である。次に、個人での2cm毎の同位体比を検討したところ、2cm毎の測定値が全く変動していない例と、変動が認められる例が確認された。長さによる変動が大きいことは、個人情報との照合により何らかの新しい知見が得られれば興味深い。これらの結果から、毛髪からの同位体比にはそれぞれ個人差が認められ、毛髪による居住域の推定ができる可能性が示唆された。
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