2021 Fiscal Year Annual Research Report
X染色体における一塩基多型マイクロハプロタイプの検索と血縁鑑定への応用
Project/Area Number |
19K19488
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
福田 真未子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60832201)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNA多型 / 個人識別 / 血縁鑑定 / マイクロハプロタイプ / X染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロハプロタイプと呼ばれる一塩基多型が数百bpの範囲に数個並んだ部分のハプロタイプが,個人識別マーカーとして注目されている。本研究では未だ報告の少ないX染色体に着目し,日本人集団において高い多形性を有するマイクロハプロタイプマーカーの確立を目指した。 まずポピュレーションデータを収集する対象座位の選択のため,公開ゲノムデータである「1000genomes」を用いて,多型性の高いマイクロハプロタイプの検索を行った。選定基準としては日本人集団を含む東アジア集団において多型性の高い座位,かつアメリカ,アフリカ,ヨーロッパ,南アジアの各集団において比較的多型性が高いものを検索した。繰り返しモチーフや挿入欠失などの混在を避け,十数箇所の候補座位を選定することができた。 次にそれらのマーカー座位のポピュレーションデータの収集を行った。同意を得た739人の血液からDNAを抽出し,massive parallel sequencer (MPS)を用いてtargeted resequencingによりマーカー座位の多型解析を行い,10座位において日本人集団で高い多型性を持つことが判明した。統計解析ソフトRにより集団遺伝学的解析を行ったところ,同一染色体上に存在するものの連鎖不平衡の程度はそれほど強くないことが示唆された。しかし,近年の動向から確率的評価ではなく,共有アリル数による血縁関係の評価が妥当であると判断し,共有アリル数のみであっても欠損事例における血縁鑑定に有用であることが示された。 一方,多数検体を解析したところコピーナンバーバリアントの可能性が示唆される結果が得られ,X染色体の構造を含め,マーカーとしての性質についてさらに検討が必要であると考えられた。
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