2019 Fiscal Year Research-status Report
精神科看護師の自己効力感向上を図るツールの開発と評価
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19K19498
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
矢田 浩紀 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80644442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神科 / 看護師 / 自己効力感 / 尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神科看護師の自己効力感尺度開発の必要性を検討するために、精神科に勤務する看護師132名を対象に分析を行った。先行研究において確認されている精神科看護師の自己効力感を向上させる要因(24項目)と低下させる要因(25項目)におけるそれぞれの質問紙において、因子分析を用いて要因を探索し、その信頼性と妥当性を検討した。因子の妥当性には特性的自己効力感尺度を用いて相関を確認した。 精神科看護師の自己効力感を向上させる要因として3要因(第一因子「患者からのポジティブな反応」4項目、第二因子「患者との関係をポジティブに変える能力」5項目、第三因子「適切な看護の実践可能性」4項目)が自己効力感を低下させる要因として2因子(第一因子「精神科看護の不確実性」6項目、第二因子「看護師としての役割喪失」6項目)がそれぞれ確認できた。これら因子のクロンバックα係数は0.7以上の内的整合性が確認できた。各因子の妥当性について、特性的自己効力感との間に、「精神科看護の不確実性」以外の因子で弱から中程度の有意な相関が確認できた。 これらの結果から、精神科看護師の自己効力感に影響する要因は一般的な自己効力感とは異なり、精神科看護師のメンタルヘルスケアを具体的に立案していくために、精神科看護師の自己効力感をとらえることができる尺度開発の必要性が示唆された。 尺度開発に向けての調査を2020年1月から3月に終え、精神科看護師約700名からの調査回答を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画について、2019年12月に山口大学大学院医学系研究科保健学専攻医学系研究倫理審査委員会の承認を受けた。2020年1月から3月にかけて精神科病院および精神科関連施設に勤務する看護師・准看護師786名を対象に調査を実施し、支障なく終えることができた。そのうち、697名から調査票を回収することができ、本年度内に調査を終えることができた。当初の予定通り研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた回答は業者に入力を依頼し、精神科看護師自己効力感尺度の開発のための分析を行う予定である。さらに、開発された尺度をもとに本データをもちいて特性別(性別・資格別・病棟機能別等)に精神科看護師の自己効力感を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究に必要な調査は完了できた。しかし、研究成果を全てまとめ上げるには至らず、研究成果をまとめるために必要な業者委託予定のデータ入力費、研究成果発信のために必要な論文の英文校閲費、学会発表に係る旅費が未使用となり、次年度への繰り越しが必要となった。
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