2020 Fiscal Year Research-status Report
非正規雇用形態で働く育児期の看護師のキャリア形成支援システムの検討
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19K19502
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
渡邊 里香 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (30822762)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キャリア形成 / 雇用形態 / 管理者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、育児期の非正規看護師のキャリア形成に関する実態と課題を明らかにすることを目的に、看護師長へインタビューを行った。 対象者は中小規模病院の看護師長とした理由は、文献検討により、育児期の看護師が多く勤務しているのは中小規模病院であると推測されたためであった。また、育児や雇用形態など、個別の背景が大きく影響する内容については、視点の違いによって、偏ったデータ収集となる恐れがあると考えられたため、本問題を俯瞰的に把握され対応されている立場である看護師長を対象とすることで、本研究のデータ収集の取りかかりとした。 2020年2月~2021年3月に、A県の中小規模の病院6箇所に所属する総数10名の看護師長よりデータ収集を実施した。対象者の属性は男性1名、女性9名、管理者経験平均8.2年であった。インタビュー時間は平均42.2分であった。 分析は、質的帰納的方法を用いて、課題に関連する内容を意味内容が通るセンテンスをコード化し、サブカテゴリ-化、カテゴリー化を実施した。COVID-19の影響により、データ収集を中断した時期があったため、現時点で10例中、5例が逐語録化され分析可能な状態となっている段階である。5例の分析の途中経過では、育児期の非正規看護師の勤務実態として、業務内容は勤務可能な時間の設定により、正規職員と同等な業務から、受け持ちをせずにフリー業務だけとするなど業務に制限を設けている場合があることが明らかになった。キャリア形成の課題は、家族の考え、時間制限などの理由で「研修に参加しない」、職場風土、管理者の特徴などの理由で「受け身的なスタッフが多い」など、個人、組織のどちらからも課題が導かれるような、コード、サブカテゴリーが抽出されている。今後、分析を10例まで進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年3月以降、COVID-19の影響により研究協力者の所属機関から辞退されることや、研究者の所属機関から出張自粛を求められることが続き、データ収集が不可能な時期があったため、実施時期が後ろ倒しになっている。 中断期間は、2020年2月に収集していた2例のデータを分析することで、次のデータ収集に備え、キャリア形成に関する文献を整理した。
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Strategy for Future Research Activity |
看護管理者へのインタビューデータの分析をすすめ、育児期の非正規看護師のキャリア形成に関して管理者が把握している課題を明らかにする。また、育児期の非正規看護師本人の認識する職場環境や求める支援を調査を実施することで、多角的なキャリア形成支援策の提案につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
2020年度のデータ収集が遅延したために、成果発表にいたる分析や執筆をすすめることができなかった。学会登録費、交通費、英文校正費などを使用していないため、差額が生じた。また、次の調査に進める計画で郵送費等計上していた分を翌年度に繰り越しとした。 2021年度は2020年度の成果発表とその成果を踏まえた調査を実施し、予算執行していく予定である。
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